アイシテル

□バカは風邪をこじらせる
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ジャッポーネの言葉であったと思う。



“馬鹿は風邪をひかない”




……………


嘘じゃねぇか!!






















バカは風邪をこじらせる
























朝起きたら、だるかった。
頭が痛く、喉に違和感。まぁ、最近任務続きで疲れただけだろうと、特に気にもせず隊服を着、任務に向かった。






*****



「ゔぉおい!!報告書持って来たぜぇ!」


いつものようにやる気になれず、溜まっていく一方の書類達を睨みつけながら酒を飲んでいると、これまたいつものように荒々しく扉が開き、大声を上げながら入ってくるカス。

しかし、どこか違和感を覚えた。

「おい……」

「これが今日の分だぁ。それじゃあ俺は戻るなぁ」

俺の呼びかけに応えず、書類だけ置いてさっさと戻ろうとするヤツにイラつく。


すでに扉の前に居るカス目掛けて、手に持っていたグラスを投げつけた。




**


任務が終わり、ボスに報告をするため執務室に来た。のはいいのだが、報告書を書いている時よりもだるさが増したような気がする。吐き気に似た胸のムカつきに苦しさを覚える。

本当になんなのだろうか。
少し動いただけで息切れし、頭がクラクラした。
流石にこの状態だとまともにボスの問いかけに応えられそうに無いため、早めに部屋に戻ろうと試みる。


呼び止められたというか、声をかけられたというのかは分からないが、ボスの声が聞こえたが、聞こえぬフリをして足早に扉に向かうと同時に、後頭部に激痛。
グラスが割れる音が響く。


「ってぇ!なにしやが………」

いつものように文句を言ってやろうと勢い良く振り返ったのはいいが、目の前が回り、どこにボスが居るのか分からなくなる。

「ボッスー、報告ー」


後ろからベルの声が聞こえる。
今自分が立っているのかも分からないが、なんとなくボスが俺の名前を呼んでるのはわかった。


そこで俺の意識は途絶えた……。



「……??………ぎゃー!!ボスがスクアーロ殺したー!?」


「殺してねぇ!!早くルッスーリアを呼んでこい!」



いきなり目の前で倒れたスクアーロに駆け寄る。

触れた首が熱く、息が荒い。
熱があることはすぐにわかったため、幹部の中では一番人の世話を得意とするルッスーリアを呼ぶように、変な勘違いをしているベルに言った。



腕の中には、苦しそうに息をしているスクアーロ。


……このドカスが!







******



「……あ゙……、なん、だぁ?」


「起きたか。カス」


横からボスの声が聞こえ、ダルい体を起こそうとすると、ボスにそしされた。


「風邪をひいてぶっ倒れるカスは寝ていろ」

「風邪………、あぁ、だからだるかったのかぁ……」


任務の疲れのせいだと思っていたダルさや、頭痛は風邪をひいていたかららしい。

まぁ、そもそも任務のせいで風邪をひいたのだけど。


「……自分が風邪をひいているのに気づいてなかったのか?」

「お゙ぉ………」


今まで風邪をひいたことがなかったため症状に気づかなかっただけなのに、そんな馬鹿を見るような目で見ないでほしい。


「んの馬鹿鮫が」

「馬鹿は風邪ひかないんだぜ、ボス」

現に風邪をひいてしまったオレは、馬鹿じゃないはずだ。


「ちげぇ、馬鹿は風邪をひかないんじゃねぇ、気づかないだけだカス」

「…………」

「馬鹿ゆえに風邪をこじらせたカス鮫は精々寝てやがれ」


そういい、べしっと乱暴に額に乗せられた冷たいタオルは、ボスの優しさなのだろうか?

そもそもボスがここに居るのも不思議だ。オレなんかほっとけばいいのに。


「……なににやけてやがる」

「いや?………妙に優しいなぁって思ってよ…」

「ドカスが…」


「ご飯できたわよ……って、あらスクちゃん起きてたの?もう心配したんだからね!」


不意にガチャっと扉が開き、食器を持ったルッスが入ってきた。


「お゙ぉ…、わりぃなぁ」

「まぁ、薬が効いたのかしら、大分良さそうね」

「あ?……薬?」


薬という単語がでてきて思わず聞き返す。
記憶をたどってみるが、薬なんか飲んだ記憶はどこにもない。

まぁ、風邪をひいているのだから薬の一つや二つ飲んでいても不思議ではないが、どうやって飲んだのだろうか?

薬を飲んだ記憶が飛ぶほどひどい状態だったのか?


「えぇ、薬。…あらボス、もう行くの?もうちょっと居ればいいのに」


色々と疑問がありながら額に乗ったタオルを押さえ、起き上がると、部屋を出て行くボスの後ろ姿だけが見えた。


「うふふ、きっと照れちゃってるのね」


楽しそうに笑いながらも手際よく飯の用意をするルッス。


「照れるだぁ?あのボスがかぁ?」


「えぇ、多分私たちがからかい過ぎちゃったからよね。私たちとは当分顔も合わせたくないでしょうねぇ」


困ったわ、とも言わんばかりに頬に手を添え、大きくため息をついて見せる。



ボスをからかうなんて命知らずな……


と思ったが、声に出すのも疲れるため思うだけにしとき、余り力の入らない手を動かし、ゆっくり出された飯を食う。
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