たそがれにキミと

□始まりの宴
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島原一、天下の花魁。
他を寄せ付けぬ美貌と天性の才、馴染みの客をまるで本当に愛しているかのように情を注ぐ。

そんな噂は誰でも一度は耳にしていた。




「か、華艶太夫とは………」


上座に座る、恰幅の良い男が一番に口を開いた。



「今晩は特別。女将の計らいどす。どうしても、とあちきの我が儘をきいてもらいんした。」



立ったまま、薄く微笑めば、頭の悪い男でない限り、その上座を私に空けるはず……



華艶は経験上知っていた。


お座敷遊びのいろはも知らない男とは、仕事にもならないことを。

この地位は何のための地位なのか。
男に選ばれるのではなく、私が選ぶ。
それが許されるたった一つの地位である。
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