heart

□【baton】短編@
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1、滴る雫は

一人で起きる朝、庭の紫陽花の葉から冷たい地面へ滴る雫は清々しくて。
夢追い、僕に、さよならを告げたあの日のキミの涙に見えた。



2、君の横顔、

一階の調理室から見える、バッターボックスの君はいつも横顔。



さっき、あの頬にキスしたのは私だよ。



オーブンの音がする。
眩しい君の横顔に呟いた言葉は、甘いシフォンの香りに包まれ、窓から流れた。

聞こえたはずがないのに、急にこっちを向いてピースした彼。




「………早く走りなさいよ!!」



弧を描く大きなホームラン。私の頬が熱いのは、夏の日差しのせいにしよう。そしてまた、あの横顔に甘い甘いキスをしよう。



3、冷めた瞳

冷めた瞳
馬鹿にしてんの?
彼にそう思う自分の眼は
今目に映るそれより
幾分も冷めた瞳に
彼に見えた。


4、いつからだろう


知らぬ間に
こんなに遠くへ来てしまい

いつからだろう
帰り道を忘れて
元のところへ戻れなくなってしまったのは──…
 

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