Novel

□ある梅雨の日に。(修正中)
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「あぁ、どうにか…」
僕は声をかけてくれた彼女にこうこたえた。


二ノ宮千鳥(にのみやちどり)。
僕のクラスメートにして幼なじみ。
そして、いまや定番となった僕と奴とのこのやりとりに手を差し伸べてくれる唯一の人物だ。
実際、教室にいたクラスメートは何人かが哀れむような目で僕をちらっとみただけで、「いつものことだ」と特に気にとめる様子もない。


もっとも、これが定番化している時点ですでに問題だと思うんだけど。



「いくら彼でも、ここまで頻繁だとね…圭介、呆れたりしてないの?」


いや、もう十分呆れてるから。
僕はその言葉を心に押し込め、目の前の少女へと話しかける。
「もう慣れたから平気だよ。
ただ、身体は毎回痛いけどね」苦笑しながら答える僕。

「そりゃそうだよ!!ていうか、これに慣れちゃあまずいでしょ。
それに圭介、一度はこれが元で…」
すかさずツッコミを入れる千鳥。

そして、教室をちらっと見渡し…
「ところで、肝心の騒ぎの元凶は居なくなって…なかったわね。」
「珍しいことに、ね」
千鳥に答えて、僕はようやく奴=騒ぎの元凶の元へ向かった。

「ったく…。毎度毎度突っ込んで来るなよ、夕夜。
今日だけで3回目なんだけど?
というより、なぜ突っ込むという行動になるんだ?」


「わ、悪ぃ…
嬉しいことがあったもんだからつい…圭介にじゃれたくなってな〜…」
あはは…と笑いながらポリポリと頭を掻く夕夜。
その彼の姿に悪びれた様子はない。

そこまで爽やかに笑って言われると、今まで怒る気満々でいたのにその気があっさりと失せそうになる。

それは千鳥も同じらしかった。「また!?
もう〜…夕夜くんってばいつもそれなんだもん。子供だなぁ…」

「いいじゃん、仲いいんだからさ。ねっ?」
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