短編

□あの笑顔が消えない
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好きなタイプは?ときかれると、自分は必ずおしとやかでおとなしい子、と答える。


だからうるさくて元気過ぎる女子は苦手だ。

ある程度明るくて元気というのならまだいいが、うるさ過ぎるのはやだ。


まあ静か過ぎるのも嫌だけど。


「えー……っと……成…神くん…?」

そんなことを考えていると、後ろから声がした。

藍色の髪に赤ぶちの眼鏡。

こいつは確か……


「…お…と…なし………さん…?…鬼道さんの妹の。」

「うん!音無春奈!!……嬉しいな……名前覚えててくれて……」

一瞬音無さんの顔が赤らんだ気がしたが気のせいだろう。

――悪いけど、苦手かも…。

なんかはきはきしてそうだし。

「あっあの……さ…」

「?なに。」

「その…タメ口でいい、よ!同じ一年だし。…それに……私成神くんと仲良くなり、たい、し…」

最後のほうが声が小さくて聞こえなかったけど、言われてみれば同級生だった。

鬼道さんの妹ってこと自体で結構気を使うけど。

「じゃあ、タメ口で…「あと!」

音無さんは見事に俺の言葉を遮った。

「音無さんはやめて!」

「は?」

「音無さんじゃ、いかにもきをつかっている感じじゃない。それにせっかくタメ口になったのにさん付けって変だし。」

「えーっと…じゃあ音無、で……」

俺が仕方なく呼び捨てで呼ぶと、音無はずいっと顔を近づけてきた。

「ありがとう!成神くん!!」

音無はパアッと笑った。

ヤバい。かわいいかも…

「それじゃあね。成神くん。」

「じゃっじゃあな…」

走り去っていく音無から目が離れない。

“ありがとう”
あの笑顔が何度も頭の中に思い浮かんでは消える。

「これって…」


鬼道さん、すいません。 俺は音無に恋をしてしまいました。




お題配布:確かに恋だった
 

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