足立 一×香川 美咲
□接
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「なんだろう」
次の日の昼休み。いつも通り俺は青と一緒にだらだらと食後のひと時を過ごす。突然、青がぼそっとつぶやいた。俺は昼寝のときの愛マスク代わりにしていた雑誌を頭からはずした。
「はあ?」
意味わかんねぇ。
「なぁ」
こちらの主張は無視か。
青はなおも続けようとする。
「何」
仕方なく、まだ少しだけ残っていたお茶を飲みつつ、話を聞く。
「一はさぁ、人を好きになったこと、あるか?」
「ぐほっ」
いつになく真剣な顔をしているから何かと思ったら。思わぬ問いに、飲んでいたお茶が気管に入る。
「がほっ、げほぉ」
「え、ちょ、大丈夫かよ?」
戸惑いながらも青は、なんだか涙目になってしまった俺の背中をさすってくれた。
「だ、大丈夫。けほ・・・どうしたんだよ、急に」
そんなに驚くことかなぁ?と首をかしげているが、いや、珍しいだろ。俺たちは今までお互いに恋の話はおろか、好きなタイプの話でさえしたことないのだから。
「それは、その」
「?」
なんだ、急にもじもじして。
「あー!!」
まさか。
「な、なんだよ」
「お前、恋してるんだろう?」
「んぐっ」
図星か。へっ、幼馴染をなめんな!
「青が恋、ねぇ」
「い、いいじゃねぇか。恋のひとつやふたつ」
顔が赤いぞ、青。
「へいへい。・・・で?相手は?どこの学校?」
男子校だからなーうち。他校っつーと、この近くにあったっけ?
「こ、この学校なんだ」
「は?!」
急に声を小さくして何を言うかと思えば・・・!この学校?!ってことは、男?!
「ひいた、か」
「いや、その」
ひいたっていうか、混乱してる?俺。
うーん
決めた。
俺の正直な気持ち。
「ひいてない!」
きっぱりと宣言する。
「本当に?」
「ああ。そりゃ、ちょっとは驚いたけど、青の好きになったやつだし、誰でも応援する」
「一・・・」
青は親友だからな!
「がんばれよ」
「あ、ありがとな!!」