風歌風唱
□与えられた任務!!
1ページ/12ページ
ブロロロ―
1台の黒い車が大きな純和風の家の前に止まった。
運転手が後ろのドアを開けると、黒いローブに身を包んだ人がそっと降り立つ。
「戻ってきたか…」
テノールより少し高めの声と背格好から、少年と判断できる。
そして、門の標識には‘蓮流家元’の文字と家紋らしき蓮の花が飾られている。
彼が門を通り抜け、そのまま扉をあけようとしたが、ひと足早く扉が開き中から男が出てきた。
「ぁあん?誰だテメェ、ここは風華組本部ってわかっているんだろうな?」
どすの効いた声で少年を睨む男。
「…」
何も言わない少年を見て、男はしびれを切らしたのか、怒りをあらわにする。
「テメェ!!何か言え!!」
「………が……」
掴みかかろうとする男の腕を軽く
払うと、少年は小さく呟いた。
「ぁあ?」
「風華組本部ということは知っているが、この屋敷は、表向きは華道の家ということを忘れていないか?」