ゆ め

□猫 男
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「臨也さん、いい加減仕事したらどうですか?」

「んー…」

「波江さんに怒られても知りませんよー…??」

「んー…」




私の忠告に対して何とも気のない返事で返してくるのは

情報屋の折原臨也さん。

いつもはパソコンや携帯を神業のように使いこなしてるこの男。

でも今日に限っては昼になってもベットから下りて来ない。


(…波江さんがいないからかな??)





「臨也さん、波江さん呼びますか??」

「……なんで?」

「え?…波江さんがいないから仕事したくないんじゃないんですか…?」

「あってるけど違う、かな。その考えは。」

「…そうですか」





やっぱりこの人は何を考えているのか分からない。

どんなに長く一緒に居ても距離をおかれているし、

そう思ったら不意に甘えてくる。

しかも、季節など関係なく黒い服で身を覆っているため

…………黒猫に見えてしょうがなかった。


(髪も猫っ毛でふわふわだし。

ちっちゃい頃近所に居た猫に似てるんだよなあ…)





「……ミーシャ…」




「…なんで猫の名前?」

「あれ、臨也さん居たんですか。」

「うん。で、なんで今更その名前が出てくるの?」




臨也さんがミーシャが何かを知っているあたりは

もうつっこむ気もない。






「いや、臨也さんって黒猫っぽいなあ…って。」

「……ふーん。」






やっぱり興味がないみたいで臨也さんは適当な返事を返してソファーに座る。






「あ、」

「??なんですか?」

「…じゃあこれはさ、猫の悪戯って事で。」

「へ?」






ニヤッと口角を上げると同時に

意味深なセリフを吐いた臨也さんに、頭の上に「?」を浮かべていると







いきなり腕を引っ張られ、

私の視界は反転した。






そんな自分の状況を理解する前に

視界いっぱいに広がった臨也さんが

妖艶な笑みを浮かべた。







「……にゃー」











黒猫にご注意を!


(野良猫になつかれると)

(何をされるか分かりません。)





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