strawberry soda
□ぷにぷにグレルちゃん
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ファントムハイヴ邸、朝早くの事。
シエルのベッドに美青年が腰掛けていた。
「お目覚めの時間ですよ…って坊…ちゃんですよね?」
「セバスチャン、僕は一体どうしたんだ?」
美青年は真っ青になってセバスチャンを見詰めた。
「どうするも何も…。」
やや困惑気味のセバスチャンだったが…
突然大人になってしまったシエルに自分の服を着せ、身支度を整えていた。
「少しキツいな。」
「坊ちゃん…凄い…。」
綺麗な筋肉に包まれたシエルの体にセバスチャンは、ほぅ…と息を吐いた。
大人のシエルは、セバスチャンより体が大きくなっていた。
「その事に付いては私が…。」
背後から急に声が掛けられ身構える二人だったが…
「…スピアーズさん。」
見知った死に神が、ピンクのうさぎのぬいぐるみを抱いて立っていたのだった。
「…走馬灯劇場の暴走?」
「えぇ、原因不明の暴走で被害を受けた走馬灯劇場は全部で3冊、その内の1冊が貴方ですシエル・ファントムハイヴ伯爵。」
シエルとセバスチャンはウィリアムの腕の中にあるピンクのうさぎのぬいぐるみを見やる。
「…所でそのピンクのぬいぐるみは何だ?」
「…ぬいぐるみではありませんよ?コレはグレル・サトクリフです。」
「え…?グレル…?」
ぬいぐるみが、もそっと動いてうさぎの着ぐるみを着た赤ん坊だと気付いた。
確かに赤毛だが…
「コイツのどこが、あの死に神なんだ?」
「…坊ちゃん、この子は確かにグレルさんですよ?」
「ふうん…そうか、随分と可愛らしくなってしまったな。」
シエルはウィリアムの腕からグレルを抱き上げた
…が。
「ふえっ…!」
急激に、まん丸なメロン色の瞳に涙が溜まり…
「ぴぃえああああああっ」
超音波号泣。
「わっ!どうしたんだよ、急に!!」
「グレル・サトクリフ!?」
ウィリアムとシエルが急に泣き出したグレルをなだめるが一向に泣き止まない。
すんすんと鼻を鳴らしたセバスチャンが…
「お尻が汚れた様ですよ。」
とグレルを抱き上げ、何処かへと消えていった。
…30分後…。
「遅いな二人とも。」
「えぇ、私もアレの仕事まで増えたのでゆっくりしていられないんですが…。」
ギィ…扉が開く。
「只今戻りました。」
「遅いぞセバス…チャ…ン…?」
セバスチャンに抱かれたグレルはフリフリした赤のギンガムチェックのロンパースに着替えさせられていた。
「…何だソレは。」
「仕上がった服を届けて下さったホプキンスさんに捕まってしまいまして…ι」
「ニナか…災難だったなι」
「貴方が使用人を労うなんて珍しいですね。」
ウィリアムが訝しげに首を捻る。
「ニナは、イロイロ凄いからな。」
グレルが受けたセクハラを思うと、じょわっと鳥肌が起つシエルだった。