strawberry soda
□ファーストキスは苺味
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「…一時間で戻って来い。」
「御意。」
セバスチャンを所要で使いに出した。
「なぁ、居るんだろ?」
「あら、バレてたのね。」
にっこり笑ってペロリと舌を出すグレルを可愛いだなんて思ってしまう僕はきっと重傷だ。
「今日はどうした?セバスチャンなら使いに出したぞ?残念だったな。」
「ううん、今日はあんたに用があったのよ。」
「僕に?」
「うん、これ…。」
ころんと僕の手に赤い猫のブローチ。
「可愛いでしょ?偶然露天で見かけてね、あんたに似合うと思ったの…あ、でも…安物は嫌かしら?」
本当に安物なのか?実に凝った作りのブローチだ。
猫に使われているボディは、恐らくバーナーワークで作られたガラス細工だし…
瞳はペリドットのビーズで飾られているし…。
グレルの手を見ると火傷の痕があった。
ーなる程
そう言う事かー
「…お前、これ露天で買ったと言うのは嘘だろう?」
「えっ?」
急に恥ずかしそうに俯くグレル。
「…そうよね…バレバレよね…持ってか…「ありがとう。」
「え?」
「これ、お前の手作りだろ?こんな手になってまで…。」
バーナーワークで火傷したであろう指を僕は優しく舐めた。