本棚 5

□のーたいとる
2ページ/5ページ


鈴華姫は可愛らしいとは思った。

けれど、結婚となれば話しは違う。

俺達は報告を終えると一楽へ向かい、ヤマト隊長に縁談の事を相談した。

「ナルトも、もう20歳だもんな。それに火影候補だし嫌でも縁談話しは有るさ。僕でさえ縁談話し結構あったからね?」

ズズーっと2杯目のラーメンを俺は啜る。

「あれだろ?優秀な血は絶やさず残すだっけか?面倒だよなな…。っうか俺に家族とか子供とか出来るってのが全然想像出来ねぇよ」

「僕達はいつ死んでも可笑しくない仕事ばかりしてるからね…。里は無理にでも後継ぎを作らせたいんだよ…。」

「えげつない世の中だな…。」

「仕方ないだろ?それでも僕達は忍びの世界で生きる道を選んだんだから」

「そうだけどよ…。納得いかねぇよ」

俺は箸を持って居た手を止め丼の上に置いた。

「鈴華姫ってまだ14.5だろ?
俺みたいないつ死ぬか分からない者の所に嫁いで幸せになれんのかよ?
俺は幸せにしてやれる自信なんかねぇ…」

「そうなんだよな…。だからこそ僕は縁談は断ったけど、ナルトは火影になるんだろ?
やっぱり火影になるなら、結婚して世継ぎを遺した方が良いと思うよ?」

「ヤマト隊長…」

「それにさ…ナルトはきっと幸せな家庭を作れると思うよ?ナルトは優しいくて…イイ奴だからね?」

ヤマト隊長はニッコリと微笑むと、3杯目のラーメンを注文してくれた。

「とりあえずお腹いっぱい食べて、ゆっくりと休んでよく考えると良い」

「ウッス!ヤマト隊長は頼りになるなぁ」

「ナルトは僕の大事な教え子であり、隊長だからね」


教え子か…カカシ先生、そういえばアンタ今頃何してるんだろうな?

俺はラーメンを啜りながら、一応恋人のカカシ先生を思い浮かべたは良いが、直ぐさま頭の角へと追いやった。


ーーカカシSideー

任務以外の休日、カカシは夢月と過ごしていた。

肉欲に溺れ、休みの日は夢月に朝から抱かれ快感に酔いしれる。

「んっ…あ、夢月…」

「愛らしいよカカシ…、ほらもっと可愛らしい声を聞かせて?」

耳に囁かれる声は酷く甘く響き聞こえ、カカシは顔を赤くさせ潤んだ瞳で見つめ、手を伸ばし夢月の身体を貪欲な程求め続ける。

けれど夢の様な甘い時間は終わりを告げる。

「ふふっ…間男はそろそろ退場しないとイケませんねぇ…」

夢月は胎内に占領して居た熱を引き抜けば、カカシは名残惜しそうに甘い声を上げる。

「っ、あ…なんで…止めちゃ、うの?」

「それは俺が居るからだろうなカカシ先生」

ナルトは疲れ切った表情で髪を掻き上げると、カカシを見つめため息を吐き出した。

「ナルト…」

「もう俺を解放して貰おうか?アンタの悪癖に付き合うのには正直疲れたしよ。
どうやら良い相手も居る様だし仲良くやれよ…。
…じゃあなカカシ先生そこの色男と仲良くな」

ナルトは言うと、踵を返し出てってしまう。

けれど、俺はナルトを追う事をせず、夢月との時間を選んでしまう。

「恋人なんだろカカシ?追わなくて良いの?」

そんな事を言いながら、夢月は俺を組み敷き首筋にキスを落とす。

「んっ…いい、だから続き…しよ…夢月」

「ふふっ、可愛らしいよカカシ…。」

ーーーナルトSideー

そんなに傷ついては居ない。

どちらかと言えば解放されてラッキー?

「俺は自由だぁぁぁ!!」

俺は火影岩で里を見下ろしながら叫んでみた。

声は谺まし、遠くでワンコが共鳴していた。

ありがとう共鳴してくれて…。

共鳴してくれたワンコ達に心内で感謝の言葉を述べ、俺は寝転がる。

「鈴華姫…か。」

14.5歳の姫を幸せにしてヤレるのか俺は真面目に考える。

家族の思い出や記憶が無い俺が、家族を作り姫を幸せに出来るのかを…。

「俺となら仲良く出来るか…。
本当にどうすっかな…。っうか考えるのも面倒くせぇ長期任務に無いかな?
その前に今宵どうするかじゃね?
カカシ先生と別れた俺行くとこねー!」

虚しく響き聞こえるナルトの声。

今回はワンコは共鳴してくれない。

少し寂しさを感じガシガシと髪を掻き混ぜたナルトは、仕方ないなと思いながら、色街に向かう。

「女を買うついでに寝よう。」

そうと決まればナルトの行動は早かった。

昔何度か師匠を迎えに行った遊郭の暖簾を潜れば、女将がナルトを見つめると懐かしむ様に声を出す。

「あら!ナルトちゃんじゃないのぉ?随分と立派になって」

「ウッス!お久しぶりです。茜姉さん居ます?」

「あら茜は御隠居に見初められて揚がっちゃったのよ…ナルトちゃん茜が初めてだったものね?」

「なら女将…出来るだけ静かな子付けてくれないっすか?出来れば色事抜きでゆっくり眠らせてくれる子が良いんだけど…」

俺の言葉を察してくれた女将は、やんわりと微笑むと奥の座敷に案内してくれる。

「あいよ…。ナルトちゃん湯浴みはどうする?」

「あっお願いします…任務から帰ったばっかなんで」

「はいよ…なら着替えも用意しとこうね?少し酒でも呑んで待っててちょうだいな」

案内された座敷の奥には、布団が敷かれていて直ぐさま寝たいと思うナルトだが、一応は気力で耐える。

給仕の男が酒を運び酌をしようとしてくれるが、ナルトはやんわりと断る。

「今日は疲れてるんで酒はイイッス。その変わり食い物お願いします…あっ。あと女の子の好物もお願いします」

「畏まりました」

ナルトはこうゆう遊びに割と慣れている、まあエロい師匠の影響なのかも知れない…。

暫く待ち寝転がって居れば、襖の外から声がする。

「うずまき様 失礼します…」

襖を開く音が聞こえれば、三つ指を立て座る遊女が現れる

「三ツ葉と申します」

「三ツ葉さんか…顔上げてくれ?俺何かに頭なんか下げないでくれ…な?」

ナルトは起き上がると三ツ葉を見つめ、口唇を緩め笑う。

「ふふっ…女将に言われた通り飾らない方なんですね?」

「そうか?案外俺って格好付けまくりだぜ…。ほらそれより入りなって足痛くないか?楽にしてくれ」

三ツ葉は着ていた着物をゆるりと引きずりナルトの横へと腰を下ろす。

「今日はさ三ツ葉さんは何にもしなくて良いから楽にしてくれ?一応女将には言ってあるから怒られないし」

「変わったお方やねぇ…。遊郭に着て色事をしないなんて」

「まあねぇ…行く所がねぇのよ俺?
だから風呂入ったら寝かせてくれればいい…」

「ならうずまき様がようけ眠れるよう、ひざ枕でもしましょうか?」

三ツ葉はナルトの疲れた表情を見つめる。

「ひざ枕か…。じゃあ頼もうかな?
でもその前に風呂入りたい」

「あい…分かりました。うずまき様ちょいとお待ち下さいな」

三ツ葉は鈴を鳴らせば、禿が姿を現す。

「湯浴みの支度出来とりますか 雛菊?」
「あい…姉様準備は出来ております。」

雛菊と呼ばれた禿は、顔を上げる事なく返事をする。

「雛菊って言ったな顔上げろ楽にしな?」

「ふふっ…うずまき様はお優しすぎや…。雛菊顔上げんさい」

「あいっ…。」

怖ず怖ずと雛菊が顔を上げれば、ナルトの蒼い瞳が捕らえる。

「雛菊は何か好物は無いか?」
「好物で…ありんすか?」

「そう好物…三ツ葉さんは?」

ナルトが三ツ葉を見つめ言えば、柔らかな笑みを作り答える。

「私は殿方が下さる物は何でも好きですよ?でもしいて言うなら一度食べた事の有る、南国の果実ですかねぇ?」

「へぇ南国の果物か…もし手に入ったら三ツ葉さんに届けにくるよ」

「はいな…首を長ごうしてお待ちしております、うずまき様」

三ツ葉が微笑めば、ナルトの口唇を自然と上がる。

「雛菊はどうだ?何か有れば言えよ…?」

すると雛菊はか細い声で口を開く。

「かき氷…梅味のかき氷が、好きです」

「そうか、かき氷か…なら風呂上がりに持って来て貰おうか雛菊?」

「良いの…ですか、うずまき様、姉様…?」

禿である少女が出過ぎた真似や言葉は禁句な世界。

怖ず怖ずと雛菊が言えば、ナルトは微笑み雛菊を呼ぶ。

「おいで雛菊?」

「は…い」

雛菊は少し怯えた表情をしながら、ナルトに近寄る。

「怯える事は無いよ雛菊。俺の前では楽にしてな」

こんな風に子供を愛しいと思う自分に驚きながらも、ナルトは家族とは何か思い浮かべ想像した。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ