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□全ては君の為(仮)
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目を開けば、闇が襲う

開いているはずの目は見える事はない

「どうゆう事だ」

けれど誰の返事もなく俺は寝ていた上半身を起こし、辺りを伺う。

「どこだここは、それに俺は誰だ?」

己が分からない、自分の名前さえも。

だが知識だけはある様で俺は呟きその言葉を口に出す

「記憶、喪失ってやつか…」

自嘲し、俺はもう一度ベットに横になり瞼を閉じる

「仕方ないよな、見えないし無駄に動くのは得策じゃない」

どうせ、この様な場所に寝かされてたなら誰か来るだろう

そして大胆にも男は眠る。

この部屋に訪れる人物が来るまで。


《全ては君の為》

某国で話題の検事が日本に訪れた。

見た目も、そのしゃべり方も癖のある印象。

神乃木は、後輩である千尋の事務所でコーヒーを飲みながら、真宵と共にテレビを見ていた。

どのテレビ局も、その検事の特集番組を放送していた。

『JOKER検事は何故日本に来られたのですか?!』

少し濃いめのメイクの女子アナは、頬を紅潮させJOKERと呼ばれる検事に問い掛けていた

『頬を赤くさせて可愛らしいねお嬢さん、どう今夜俺の所に遊びにおいで』

アナウンサーの腰を抱き寄せ、甘い台詞を口にする

すると、JOKERの周りに居たお連れの女達は頬を膨らませている

「なんだコイツは…」

そのテレビを見ていた俺は、コーヒーを飲むのを止めマグをテーブルへと置く

「なんかスッゴいインパクトのある人だわ…。私コロっと落ちちゃいそう」

「むっむっ、お姉ちゃん同感だよ。この人何か無駄にエロかっこいい!!」

女2人はと言えば、頬を赤くさ興奮している。

テレビの放送は今だに続き、JOKERが日本で手始めに担当する事件の内容へと変わった

それは聞き覚えのある事件の内容だった。

そのはずだ…

「俺の依頼人の担当検事かよ」


『アハハ、俺が担当したなら確実に有罪しかないよ。
たっぷりと痛みつけて上げる。
ねぇお嬢さん、成功したなら俺とデートでもしない?』

神乃木はその台詞を聞き、何か燃え上がる物が体中に駆け巡る

「上等じゃねぇか…、弁護士舐めんなよ」
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