本棚 1
□暗闇の中に輝く光
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地下深くにある実験室は俺の生まれた場所。
死ぬまでこの地下から出る事は無いと悟っていた。
いつものようにボロボロになった身体を引きずりながら、暗い廊下をゆっくり進む。
「こんばんわ・・君の名前は?」
「誰だ・・あんた?」
優しい声…
「初めまして僕はアレン・ウォーカーです。」
そっと目の前に手を出され、ニッコリと笑うアレンの顔に神田は赤面する。
「神田・・ユウだ・・」
差し出された手にそっと手を添え小さく呟く。
「ユウ・・いい名前ですね。では神田僕と一緒にこの地下から出て旅をしませんか?」
思いがけない一言に神田の思考は停止する。
「一緒に外の世界を見に行きましょう。」
神田の返事を聞かず、神田を抱き上げたれアレンはゆっくりと歩きだす。
「・・あったかい」
初めての感触とアレンの体温を感じる神田は次第に眠気に襲われる。
「神田・・少し眠りなさい。目が覚めれば君には新しい世界が待ってますからね。」
この声…気持ちいいな。人ってこんなに暖かいんだ…。
「眠りなさい。神田・・良い夢を」
最後に聞こえた優しい声。
今は眠ろう・・
そして神田の瞼は閉じる。