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□惚れた弱み 2016年夏
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2016年 6月

二年…。
あと二年
この地獄に耐えさえすれば俺は勝ち組だ。

この地獄の勝ち組とは所謂ノンケのまま学校を卒業する者の事を言う。

逆にこの地獄の負け組と言うのは…。

あまり説明しなくてもこの流れで分かる者も居るだろが一応言っておこう。

欲に耐えきれず不生産な恋愛に身を落としたゲイもしくはバイになった者は地獄の負け組だと俺は思ってるし悪いけど勝手に決め付けていた。

地獄に身を落とし約一年俺の心は頑なに穢れる事なく過ぎた。

だから後二年も大丈夫だと確信してるしめっちゃ自信も合った。

「フッ…そう思っていたが…クソ!
まさか…この、この俺様が野郎にぃ」

ガンガンと机に頭を打ち付けるサンジの行動に、以前は驚いたりしていたクラスメイトだが今はお決まりとなった行動に生暖かい眼差しを向けていた。

サンジは暫く頭を打ち付けていたが、ふいに顔を上げると赤らんだ額など気にせずいきなりぽつりと呟いた

「今日の一限目は体育…!ぶはっ!!ピ、ピ、ンクの乳首」

自分で言っておきながら以前体育の時間に覗き見た、恋しい人のピンクい乳首を思い出すと勢いよく鼻血を吹き出した後…何故か吐血した

鼻と口から血が流れ突っ伏し机には血溜まりが出来ている。

だがクラスメイト達は一切動じる事なく、教室の後ろに備え付けられた清掃道具が入ったロッカーから、バケツやらモップを取り出した。

一人がバケツを持ち教室から出て水を汲みにいき、数人が後方に椅子を並べれば、ガタイの良い生徒が机に突っ伏したサンジを俵抱きする。

後方の椅子にサンジが仰向けに寝かされている間、クラスの学級委員長が血まみれとなった教室にテキパキと指示を出していた。

「ピンク…乳首」

サンジさんは未だに夢の中である。

教室内清掃が無事に終わると同時にチャイムが鳴れば、時同じしてドタドタバタバタと廊下から騒がしい音がする。

瀕死?な状態であったサンジの眼と耳がピクリと動き、勢いよく教室のドアが開かれるとサンジはガバリと上半身を起こす。

「おっ!セーフだよな?あれ、サンジまた貧血起こして寝てたのか大丈夫かよ?」

「おっ、おお、おう。
ルフィ、おっ、おぱよう」

恋しい人が汗を拭い椅子に座るサンジを見下ろし、心配そうに顔を覗き込まれ心臓が脈を打ちすぎたせいか、それとも恋しい人のピンクい乳首を思い出したのかは分からないが思わず噛んだ

「おう!おはようサンジ!!」

おぱようと噛み少し頬赤くしてしまうサンジだったが、ルフィあまりそれには気にする事なく満面の笑みを浮かべしししっと笑った。

「きょ、今日もギリギリまで寝てたんだろ?
はっ、腹は減ってないか?」

吃りつつもじもじとサンジが問えば、ルフィは一度腹の当たりを擦る。

「んーにゃ…今日は朝飯は食って来なかったんだ!だってサンジが作ってくれる飯が一番美味いからな!!」

サンジさんは恋しい人のお弁当を毎日作り続けたお陰か、ある意味餌付けに成功したと言えよう。

「おっ、おう!
きょ今日はお前好きな物をよ…用意したんだぜ」

サンジは立ち上がるとスキップする勢いで、後方にある自分のロッカーへと足早に向かう。

鼻と口から吐血したせいか若干足元をふらつかせながら、ロッカーにたどり着き大切に閉まっておいた風呂敷に包まれた重箱を取り出した。

両手で重箱を抱えルフィの元に戻れば、もじもじと顔を赤くして何度か躊躇しつつ決意を決めたサンジはルフィに重箱を差し出した。

「お前の、為につ、作ってやった訳じゃねぇけど!ど、どうせ余りもんだ!よっ、良かったら!食べて良いんだからな」

先ほどは好物を用意したと言っておきながら、こいつは一体何を言ってるんだろうね?


ツンデレか?

でもね男が男にツンデレを発揮しても可愛いとは言えないが、もうあんまり突っ込んでやるのは止めてやろう。

「うっひょーー!
なぁなぁ!食ってもいいか?」

サンジさんのツンデレっぷりをルフィは気にもせず妙な雄叫びを上げ弁当を受け取ったが…。

残念ですねお弁当は食べちゃぁダメです。

だって先生来ちゃってるからね。

「おーい!ルフィにサンジいい加減先生の存在に気付いてくれな?
先生さお前らに気付かれ無さすぎてもう泣けて来ちゃう…グスン」

ぐずぐずと愚図り始めた先生をクラスの一同が慰める。

「わりぃ先生!
泣かないでくれよ俺が悪かったからさ」

ルフィが本当に申し訳なさそうに謝るその隣でサンジさんはと言えば

「……(ちっ、へぼ教師が邪魔すんじゃねぇよ!次邪魔したら絶対にオロしてやる!)」

そんなサンジさんの副音声はルフィさん以外にはバッチリと届いてしまうのです。


先生こんな問題児も居りますが頑張って!!
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