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□のーたいとる
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すやすやと眠る男を見つめナルトは思う。
なんで俺カカシ先生と付き合ってんだ?
腕を組み交際に到るまでの経緯を思い返す。
3年前、任務の途中での野営をしていた時だった。
見張りの交替の為、先生を呼びに行けば苦しそうに声を出し眠っていて俺は思わず声をかけた。
すると先生は飛び起きた途端俺に抱き着きキスをした。
何すんだこの野郎っとこの時は思ったが、身体を震わせる先生を見て居たくなくて、カカシ先生のキスを受け入れた。
『んっ…先生…ミナトせ…んせぇ』
『寝ぼけてんじゃぁねぇえ!!』
俺はとりあえず先生の頭に頭突きをして、この日の出来事を心内にしまい忘れる事にした。
けれど、先生は任務を組むに連れ、俺へのスキンシップが増えて行き。
そしてとある日の任務の時にはとうとう尻穴を犯され、告白された。
っうか逆じゃね?
とは思ったのだが、面倒だしセッ〇スをすれば身体もスッキリする為言うのは止めた。
けれども交際?して半年後カカシ先生は浮気をした。
まあ浮気しようが別に構わんのだが、相手はなんと俺も知る上忍で、正直先生趣味悪いなぁ…なんて思ったり。
俺とは全く違うタイプの厳つい男…。
っうかあんた恋人居なかったか?
いや…俺じゃなくてさ、相手の上忍!
しかも彼女さんの腹には子供居るだろ!
なんて思ったりしたが、事勿れ主義の俺が言う訳もなく。
俺はカカシ先生がしたいように浮気をさせ日々を過ごして居た。
そして今に到る。
俺の腰に抱き着き眠る男は、本当に気持ちよさ気に眠る。
ちょんちょんと頬を触れば、擽ったそうに顔を反らす。
「あんたは俺に何を求めてんのかねぇ?」
小鳥の囀りを聞きながら、ナルトはカカシの腕を引きはがすと、シャワールームに向かう。
20歳となったナルトは今や自国外でも有名な忍び。
今日も任務が有る為、カカシを追いて長期任務へと旅立つ。
熱いシャワーを浴びながら、ナルトは綱手の言葉を思いだす。
『縁談の話しが幾つか有るんだが、ナルトよそろそろ家族を作ったらどうだ?
火影には世継ぎは必要になる。
本気で火影になる気なら縁談の話しを考えておけ…。』
「家族…ね」
事勿れ主義のナルトでは有るが、さすがに縁談の話しとなれば思い悩む。
こんな時ちゃんとした恋人が居たら、何か違うのだろうか…。
ナルトはシャワーのコックを閉めると、鏡に映る己を見つめた。
「家族…嫁さんが居て…子供が居る…。
温かな家庭…か。」
思い浮かべれば自然と口唇は緩む。
「悪くないかもな…。家族作るのも」
ナルトはタオルで髪をガシガシと拭きながら、クローゼットが有る寝室へと向かう。
寝室に入れば今だベッドの主は、抱き着き枕を抱き寄せ眠っている
「くくっガキかよ…。寂しがり屋だもんなカカシ先生はよ」
はん乾きの髪を掻き上げるとナルトは、クローゼットを開く。
黒いタートルネックを着てオレンジ色のジャージを羽織る。
そして、スラックスを穿き終え身支度を整え先生が眠るベッドに向かう。
一応は恋人な訳で、俺は眠る先生の頭を一撫でして、部屋を後にする。
ーーーカカシSideー
目を覚まして見れば、ナルトの姿は無い。
「もう行っちゃったのか…、起こしてくれても良いのに」
眠り過ぎてだるい身体を起こし、ベッドの上に座る。
「確か…長期任務だったっけぇ…。
んーっ、どうせ暇だし色街にでも行きますかぁ」
カカシは髪を掻き上げると、立ち上がりシャワールームへと向かい軽く汗を流し終えると、いつでも任務に付けるよう、忍服に着替え口布を身につける。
愛読書と財布は忘れずしまい込み色街に向かう。
ゆったりした歩調で街中を歩けば、次々と声を掛けられるが、カカシは軽くあしらい、好みの男を探す為色街を歩く。
けれど好みの男を見つけられずに、困り茶屋に入り愛読書を取出し茶を啜る。
「んっー、困った…」
「何かお困りですか?声に出るほどですし…どうされました?」
不意に聞こえる声が、恋人と重なりカカシは思わず茶を吹出しそうになる。
「ケホッ…ゴホッ、すみません…少し驚いてしまって」
心地好い声の主がカカシの背を摩り焦った様に声をだす。
「すみません…驚かせてしまいましたね?良かったらハンカチ使って下さい。」
「すみません…」
カカシは差し出されるハンカチを受け取ると、口元を拭い困った様に笑う。
「いいえ…私も貴方を驚かせてしまいましたから、気にせずお使い下さい」
カカシは改めて声の主を見れば、艶っぽい雰囲気を持つ男で、胸が高鳴るのを感じた。
「あの…ハンカチ洗って、返しますね…。そのっ…名前を伺って良いですか?」
「そんな気にしないで下さい。私が驚かせたのが悪いんですから…ね、気にしないで下さい。」
「なら名前だけでも教えて下さい?
俺はカカシ…はたけカカシって言います、貴方は?」
カカシの必死のアピールは、男に通じ名前を聞く事に成功する。
「ふふ…。カカシさんは可愛らしい方ですね?
私の事はそうですねぇ…。夢月(ゆうげつ)とでもお呼び下さい」
「夢月さん…」
「はい、何ですかカカシさん?」
フンワリとした笑みと優しい声色に、カカシの頬が赤く染まる。
「夢月さんはこの里の方では無いですよね?」
「えぇ…、お仕事です。嫌な仕事だと思って憂鬱でしたが…。貴方の様な可愛らしい人に会えたのはラッキーかも知れませんね」
夢月の言葉にカカシの頬は茹蛸の様である。
「恥ずかしいですねぇ…。夢月さんはモテるでしょう?」
「さあ…、私はどうも恋愛に疎くて」
クスクスと夢月は笑うとカカシの頬に触れる。
「私なんかより、きっとカカシさんのがモテるんじゃぁ無いですか?
少し興味が有ります…カカシさんの事」
「んっ…ゆう…げつさん?」
「カカシさん私に抱かれてみませんか?貴方の寂しそうな瞳を癒して上げたい」
思いがけない夢月の言葉に、カカシは熱を帯びた瞳で、グリーン色の瞳を見つめる。
「寂しいのでしょう心も身体も?
私ならきっと貴方を満足させる事が出来る」
「夢月…さん?
本当に心も身体も満足させてくれるの?」
潤み切った瞳でカカシは夢月に尋ねる。
すると夢月は口唇を緩めると、極上の笑みを作り笑った。
「もちろん…カカシさん」
ーーーナルトSideー
マジ疲れました俺!
任務が重なり重なった挙げ句、里に帰還出来たのは3ヶ月後の事だった。
教え子達もヘトヘトで、一人は意識を飛ばし俺の背で眠り。
応援でやって来たヤマト隊長の背でも教え子が眠る。
「だああ!絶対今日は一楽に行って味噌チャーシュー大盛りを5杯は食う!しかもヤマト隊長の奢りで」
「おいおい…5杯は食べ過ぎだろ。まぁ仕方ないね、それくらいは奢るよナルト」
ヤマト隊長と話しながら、教え子達を家に送り、報告の為火影室へと目指す。
「マジ疲れました俺!そして目茶苦茶頑張りました!だからバアちゃん休みを寄越せぇえ!!」
イライラと空腹により俺は突撃する様に火影室に飛び込めば、ヤマト隊長に腕を引っ張られる。
「コラコラ!ちゃんとノックしろってナルト!」
「休みを寄越せぇぇえ!!!」
ドタバタと火影室に入れば女傑の罵声はするが、いつもとは違い穏やかに感じたナルトは怪訝そうに綱手を見つめる。
「鈴華姫様…この煩いのが先程話して居た うずまき ナルトです。
ナルト!こっちにおいで!」
俺はバアちゃんに呼ばれ、髪を掻き混ぜながら近寄って見れば、可愛らしい少女が俺を見つめて居た。
「えっと…どうも鈴華姫?初めまして?っうか何だよ意味分からねぇよ!」
「縁談の話しをして居ただろう?
鈴華姫はお前の噂を聞き是非縁談を進めたいと言って下さってるんだ」
バアちゃんは耳内すると、俺の背をバシーんと叩く。
「痛えよくそババア!勝手に話し進めんなよ?!俺は帰って来たばっかだぜ?ちっとは考えさせろよ!」
「誰がくそババアだ!このくそガキっ!」
女傑の拳がナルトの頭に振り落とされれば、お姫様はクスクスと笑う。
「くっ、ふふっ…。噂通りの方、ナルト様?ゆっくりと私との事をお考え下さい。
私…ナルト様とならば仲良くやって行ける気がします。」
フンワリと笑う鈴華姫の笑顔に、ナルトの口唇も緩んだ。