本棚 4

□全ては君の為(仮)
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前代未聞、テレビの生中継中に女子アナを口説いたJOKERは、お付きの人物にキツイお灸を据えられた

「怒るなよ冥?可愛いい顔が台なしだぞ」

「貴方って人は!何度言ったら気がすむのよ!」

頬を膨らませ怒るのは狩魔冥。

13歳で検事デビューをした天才。

JOKERの先輩でもある冥は、この男の悪癖に頭を抱えていた

あの放送から、JOKERに取材に来る記者は女性が増えた

増えたのはいい、ただこの男。

女に甘えられたら、ポロッと重大な事を口に出す

それが裁判で重大な事でも、何もかも。

「冥ってさ真面目ちゃんだよな、もっと気楽に生きようぜ?」

ソファに座っていたJOKERは立ち上がると、冥を抱き寄せる

「ちょっ!貴方って人は!」

「なんだよ、いいじゃん俺の過去なんてさ、お前無理しすぎ。少しは気楽に俺に甘えとけ」

「でも、貴方のイメージがっ」

「いいんだよ、記憶だって戻らないし。
容姿だって変わった。俺は気ままに今の人生を楽しんでるんだし、お前も親父殿の言ってた事を忘れろ」

有無を言わせない様にキッパリとJOKERは冥に告げ言葉を続ける

「なぁ、解放されちゃえよ。親父殿の言葉も、俺からもな…」

まだ若い冥を、俺みたいな奴が縛りつける事は出来ない、そうだろ?

「何を、言う…」

「今日でお別れだ冥。お前は若い好きな様に生きるといい」

その言葉と同時に冥を解放する

この腕からも。


「そんな怖い顔すんなよ、俺はこっちでカワイコちゃん達と楽しく生きるから、お目付け役はもう不要だ」

出来るだけ、冷たい声を作る

「だから貴方は何を!」

「だから、いらねぇって言ってるだろ?さっさと向こうに帰りな。
はっきり言って邪魔なんだよお前」

傷つける事を許してくれよ冥。

解放されてくれ。

それにな、お前らが望む成歩堂龍一のイメージに縛られれのはもうたくさんなんだ。

あぁ、これが本音か。

俺は変わった

誰にでも手を差し延べた成歩堂龍一は居ない

何事にも真剣に取り組むと言われた成歩堂龍一は居ない

居ないんだよ。

今居るのは

成歩堂龍一と言われた器だけ

中身は別人

JOKERだ

女がすきで、面倒臭さがり

何事にもやる気のないそれが今の俺

「冥、成歩堂龍一は死んだんだよ」
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