本棚 3
□君の隣
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顔見知りの医者ドクトリーヌは俺の腕の中で気を失った子供を見ると表情が変わった。
「厄介そうだねさっさと処置室に運びな!」
処置室のベッドに寝かせると俺はその部屋から追い出されてしまう。
「仕方ないか…」
身体を抱き上げた時の子供は異常な程軽かった。
汚れた髪や肌そして身体中にあった無数の痣や傷跡。
身体の傷が治ったとしても心はきっと
俺の様にならなきゃいいが。
何気なくタバコを加えるといつもとは違い火は付けられる事はない。
「若頭…ここ病院ですから」
「あぁ…そうだな」
そう言われ俺はタバコをしまう。
時間が過ぎるのがこんなにも遅く感じるなんて
「なぁギン…俺はあの子供を助けたい。そう思うのは変か?」
らしくない。
きっと俺を知る者なら言うだろう
「らしくない…とは思いますが、俺は貴方がする事には何も反対しません。だから貴方のしたい様にして下さい。」
「そうか…」
すると処置室から子供泣き声が聞こえてくる
『痛い…よ!!!助けて!!!恐いっ!!』
『大丈夫、落ち着きな!!!ここにあんたを傷付ける奴は居ないよ!!!』
『助け、て…恐い、恐いっ』
その苦しげな声を俺は聞いているのが堪えられず処置室へと飛び込んだ。