迎春2011

□《成人式》
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《成人式》









 南島にあるデュエルアカデミアにて成人式が行われていた。卒業生達が集まり、理事もしている海馬瀬人からの有り難い訓辞をうけた。記念品をもらい、各々写真を撮ったり、話したりしている。
「万丈目君!あ、いや、もう遊城準になったんだっけ?」
「あまり大きな声で言うな。準でいいといっただろ」
「えー?あー、じゃサンダー!」
 にこにこと駆け寄ってきた翔は照れくさそうにそう言った。華やかな晴れ着姿の準もおかしそうに笑う。
「でもまだ万丈目準でプロは続けるんでしょ?」
 そうじゃないと困るんだけどと翔は思うが、準は困った顔をした。これは、ダメかもしれない。
「悪い、お腹に子供がいるんだ」
 愛しそうに準は帯の上からお腹を撫でる。まだまだ小さな存在だけれど、準には新たな息吹が感じられた。デュエルは好きだが、デュエルより大切なものが出来てしまったのだ。今ここにはいないが、十代とこの子と、新しい人生を歩むのもいいと思ってしまったから。
「サンダーもとうとう結婚してお母さんになるのかぁ」
 翔はため息まじりに、でも幸せそうに呟く。翔も準のお腹を優しく撫でる。二人の子供ならきっと強いデュエリストになるだろう。いつかはきっとサイバー流プロリーグにも参戦してくるはずだ。それを待つのもいいかもしれない。
「兄貴の放蕩もおさまるかな?」
「聞かされてないのか。あれも仕事なんだ」
「へ?」
「実はKCやI2から仕事を請け負って飛び回ってる」
 翔は驚き目を丸くする。長い事会ってないが、まさか働いていたとは。次に会った時にはぜひ冒険譚を聞かせて欲しいものだ。
「じゃサンダーは専業主婦になるのかぁ」
「そんなとこだ」
「世のサンダーファンが泣くね」
 呟いたところで騒がしい声の方を向く。クロノスが何やら演説を始めたらしい。翔と準は顔を見合わせて目を丸くする。
「クロノス教頭にも結婚報告しないとな」
「きっと驚くよ〜!」
 二人は笑って歩き出した。






終劇

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