青エク

□苦手なものなくしましょう
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それは朝食の時間でおきた。



「こら坊!また好き嫌いしてますやん」
「だって…にがくてたべれんし」


グスンと涙目になりながら柔造を見つめる勝呂にまた甘やかしそうになるがグッと耐え、好き嫌いばっかしてると大きくならんよ?と優しく言う。


「おおきくならんでえぇもん!ごちそうさまでした」
「あっ坊!」


急に立ち上がった坊は食べたお皿を小さい体で台所に持って行って去っていった。
その姿をため息をつきながら眺める。


「…なぉおとん坊の野菜嫌いどうしたらなおるやろか?」
「やっぱ野菜の原型を無くすんがえぇんちゃうか。ほら野菜ジュースにするとか」
「そうやな!有り難うおとん。たまにはえぇ事言うな」
「たまにとはなんや!いつもて言うべきやろが」


おとんの話を最後まで聞かずに俺は立ち上がりおとんに畑から野菜貰ってくんでと言い残し外にでた。



一通り坊が嫌いな野菜を集めたのは良いがこれをそのままジュースにすると不味いまんまだと言うことに気付く。


(なんか…こう飲みやすくなる方法ないかな)



台所に行くと何か良い物あるかもと向かうとリンゴなどの美味しそうなフルーツがあった。



これだ!と感じ早速おかんに使ってえぇかと聞き、坊の為やったら幾らでも使いよしと許可貰ったので材料を切ることにした。



(これならきっと飲みやすうなるやろ…)



****


何度も試飲を繰り返しやっとしっくりくる物が出来たので晩飯の時にでも坊に飲んで貰おうと頷いた。




晩飯の時間になり、坊を手招きして呼んだ。


「なに?じゅうぞう」
「これ飲んでみてくれませんか?」


坊の目の前に綺麗なオレンジ色の飲み物を差し出し、小さい手で受け取るのを眺めた。


「じゅーす?」
「まぁそんな感じです。さぁグッと飲んでみたって下さい」

不審そうな顔しながらもゴクゴクと飲んでくれた。
飲んでから反応が無くて不味いんやろかと落ち込みそうになるが坊がパァと華やかな笑顔を浮かべ、めっちゃおいしい!なんなんこれと聞いてきた。


「これは坊が嫌いな野菜で出来てるんですよ?」
「こんなおいしいのんにあのにがいやさいはいってるんや。これやったらおれだいじょうぶかもしれん」
「ホンマですか!!こりゃ頑張ったかいあるわ」


次の日から柔造にまたあのじゅーすのみたい〜と催促する坊の姿がよく見掛けられる様になったそうな。




おまけ?

現在

「坊…それ好きですね」
「せやな…小さい時からこれで育ってるからな。今更やめれへんわ。柔造にはホンマ感謝しとる」

寮の冷蔵庫の中には柔造特製野菜ジュースが沢山入っている。因みに俺が飲もうとするとすっごい怒るねん…。しゃーない……坊が寝た後こっそり飲んでみよう〜

ばれない程度に飲んだのにそれがあっさりバレて坊に結局怒られる羽目になった。

(坊の記憶力半端ないわ…探偵になれんで)


End


あとがき

オチが微妙すぎて死ねる。
ではここまで読んで下さり有難う御座いました

2011/8/25


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