青エク

□然り気無い優しさ
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HRが終わり帰ろうと鞄に教科書を入れてるとクラスメートの女子が「やだ雨降ってきた」と叫んだので窓を見ると最初は弱かったけど段々雨脚が強くなってきた。

「あっちゃ〜俺傘持ってきてへんのやけど」
「ほんなら僕の傘に入ります?」

俺の独り言を近くに居た子猫さんが聞きつけ何とも有り難い事を言うてくれた。

「ホンマですか?助かりますわ…あっ所で坊はどこに行かれはったんやろか」
「坊なら役員で遅なるから先帰っとれて言うてはりましたよ」

教室を出、子猫さんと喋りながら下駄箱まで行き下駄箱を開けると何やら折り畳み傘が入っておりその傘に手紙が貼ってあったから読んで見ると、それは坊の字で

『お前の事や傘忘れてるやろ思うて入れといたで。返さんでえぇからな』

と几帳面な字で書かれてあった。
見るとその傘は確か坊のお気に入りだったはずだ。
……わざわざ俺の為にくれるやなんて。嬉しすぎて泣きそうや

こんな人通りが多い所で泣くなんてみっともないから上を見上げて涙を堪えてると子猫さんが勘違いしたんか知らんけどティッシュをくれた。

「………子猫さん」
「またやらしい事でも考えてたんでしょ?これ使うて下さい」

やっぱり…
俺のイメージってやっぱそんな感じなん?




坊の優しさに泣きそうになったり子猫さんの毒舌に本気で泣きそうになったりの1日だった。


End(2011/7/21)


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