【 お そ 松 さ ん 】

□第二十二マツ
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チ「えっ……十四松、何て?」

十「美学っていうすっごく気持ちよくなる薬もらったんだけど、どっかいっちゃった!」

チ「……突っ込む所が多すぎるよ。で、誰に貰ったの」

十「えっとねー、デカパン博士に作ってもらったの! 美学!」

チ「美学じゃなくて……媚薬、じゃないの」

十「うん、そんな感じー!」

チ「何の為にそんなもの……」

十「おそ松兄さんに相談したら、媚薬でチョチョイのチョイでサカキをオトせるって言ってた!」

チ「……あんな奴の言う事を間に受けたらダメだよ、十四松。それで、どうして無くなったの?」

十「ペットボトルに入れてたんだけど、カラになってたの」

チ「それ明らかに誰か飲んじゃってるよね!? 大丈夫なのかな……」

十「大丈夫なのかな?」



 果たしてその媚薬とやらは誰の体内へ入ってしまったのか。


 十四松の、というよりおそ松の企みがどのように展開していくのか、意外にも結果はすぐに現れたのである。





 第二十二マツ





 昼前、いつもの如く軽い昼食を作っていたサカキは、作業の途中に明らかな違和感を覚えていた。


『暑い……』


 初めは妙に体温が上昇していると不思議に思っていたのだが、それが徐々に異常だと感じ始めたのだ。


『ッ……? 何でこんなにクラクラするんだ…』


 ひょっとして風邪でも引いたんじゃないか。
 体温上昇に眩暈、おまけに息が上がってきている。


『さっさと作って寝よう……』


 サカキは早々に作り終え、すぐに横になろうと考えた。


『あっちぃー……』


 ──……それにしても暑い。



 松野家では、サカキが来てからご丁寧に家族揃って昼食を取るようになっていた。
 そして今日も同様に、六つ子は食事が用意された居間へやって来る。


お「うひょー! 相変わらず美味そう!」

ト「軽いランチのレベルじゃないよねー。どっかのオシャレなファミレスでありそうなメニューみたいだよね」

カ「フッ…さすがは俺の嫁、だな」

チ「気持ち悪いからやめて、カラ松」

一「クソ松黙ってろ」

十「あれ、サカキは食べないの?」


 いつもならサカキも一緒に食事するのだが、部屋を出ようとした為に十四松が声を掛けた。


『あー、今日はいいや。食器、流しに置いといてね』

十「分かった! いただきまーすっ!」

 
 笑いかけてそう伝えたサカキの頬はやけに紅潮していたが、誰もそれに気が付くことはなかった。



 二階へやって来たサカキは、ソファの上に横たわろうとした。
 しかし、部屋に入った途端にふいに力が抜け膝から崩れ落ちる。


『ッ……はあっ…』


 力が入らない足を押さえながら、サカキはそこでようやく異変に気が付いた。


『何か、これってッ……』


 まるで欲情しているみたいじゃないか。

 若かりし頃に感じた事のある感覚。
 まるで発情期を迎えた猫のような。

 明らかに今のサカキは、その感情を覚えていた。


『な、なんでッ……うっ…』


 微かに動いて肌に擦れる衣服さえ、敏感に反応してしまう。


『えッ……ハハッ、そ、そんなしてなかったっけ…』


 確かにこの家に来てから一度も一人で処理をしてはいなかったが、今までこのような状態になった事などない。
 それに先日はおそ松によって一度施されていた筈だ。


『へ、変だよな……どうしよう…』


 既に下半身には熱が篭っている。
 せめてトイレにでも行こうかと考えたが、もう歩ける余裕が存在しない。

 サカキはとにかく熱が収まるのを待った。


『はあっ……ッ……』


 だが、しばらく待っても体が落ち着く様子もなく、むしろさらに欲情している気がした。


『はっ……ど、どうして…ハアッ……』


 自身の体を包み込むように抱きしめ、サカキは唇を噛み締める。


『はあっ…収まれ、収まれッ……』


 とにかく無心だ。
 そうしてサカキは必死に堪えた。


 どれくらいその時間を耐えていたのか、黙り込んでいたサカキは、襖が開いた途端にビクリと体を跳ね上がらせる。


お「いやー、食った食った」

ト「ん? 何やってんの、サカキ」

『ッ……』


 部屋に入ってきたのは、おそ松とトド松であった。

 彼らの口ぶりからすると、もう食事を終えたようだ。


『(えっ……そ、そんな経ったのか…)』

お「何イモムシみたいに縮こまってんの?」

『ッ………ち、近寄るな』

お「はっ?」

ト「なになに? 意味深ー」

『(ふざけるなッ……よりによってクソ野郎二人組が気やがった!! 危険信号マックスだぞ、ちくしょうッ……)』


 ともかくこの場から一刻も早く立ち去る事を優先させたサカキはおもむろに立ち上がった。

 だが──


『うッ……』


 既に立ち上がるこそすら出来ないほど、サカキの身体は熱で翻弄されていた。

 少し動いただけで、敏感に反応してしまう身体の所為でサカキは立ち上がれずに膝をついてしまう。


『ハアッ……ハアッ…』

お「え、何やってんの?」

『う、うるせぇッ……とにかく絶対近寄るな』

お「えぇー? そんな事言われたら余計近づきたくなっちゃうのが……」

ト「僕たちの“サガ”だよねぇ」

『ッ……』


 じりじりと近寄る長男と末っ子を見上げながら、サカキは逃げる事も出来ないまま固まっていた。


お「とうっ!」


 そして飛びついてきたおそ松に対してサカキの口から出た言葉は、否定や貶しなどではなく、思わず漏れてしまった類の声であった。


『ひあッ……!』

お「えっ?」

『ゃッ……お、おい、離せって……』

お「……なに今の?」

『ッ……おそ松、離せよ!!』

ト「サカキ、すっごく顔赤いけど…」

お「…………」

『うッ……ん……』


 明らかに様子がおかしいサカキを見て、おそ松はピンと来たようだ。


お「ははーん……十四松の奴、ヤリやがったな」

ト「何か心当たりがあるの、おそ松兄さん?」

お「サカキ、お前薬盛られてんだろ」

『はッ………?』

ト「薬って、まさか……」

お「そうそう。えっちな気分になっちゃう…び・や・く・だ・よ」

『なっ……』


 おそ松の言葉に耳を疑った。
 百歩譲って自分は薬を盛られた覚えなど一切ない。
 しかも十四松によるなら尚更疑い深い事実だ。


お「だってよー、この反応見たら分かるっしょ」

『んっ…』

お「それに促したの俺だし? まさか本当に盛るとは思ってなかったけどな。てか十四松は知ってんのか?」

ト「何かよく分かんないけど、おそ松兄さんカッコ良すぎ!」

『ふざけるなッ……お前の差金かよ!!』

お「あ、コラ逃げんな」


 わざと耳元で話すおそ松から逃れようと、必死に抵抗するサカキ。
 そんな彼にさらに追い討ちをかけるように、おそ松はサカキの衣服の中へ手を侵入させた。


『やっ、やめろよ……!』

お「キツイんだろ? 俺が楽にしてやるよ」

『はッ……や、んっ…ゃだ……』

お「相変わらず可愛い反応だなぁ、サカキ」

『んっ……そんなとこ、弄るなッ…』


 衣服の中に侵入したおそ松の指は、サカキの胸の突起を執拗に弄っていた。


『いやッ……あっ…やめろって!』

お「そんな事言って、本当は気持ちいいんだろ? ……こんなに硬くしちゃってさ」

『ひッ……ん…』


 ズボンの上からでも分かるほど、サカキの自身は酷く主張している。
 突然他人の手が触れた事により、サカキの身体はビクリと震え上がった。


『さ、触るなっ……!』

お「えぇー? 本当は直に触って欲しいだろ? 本当に嫌なら蹴飛ばしてでも止めてみろよ、サカキ」

『いやッ……んっ、やだ……』


 ベルトを外されながら、サカキは大した抵抗もできずに唇を噛み締める。


お「ほら、もう既に完勃ち。ビクビク震えちゃって可愛い」

『うッ……や、おっおそ松…ほんとに笑えねぇって…んっ……もう…』

お「お前のココは喜んでるみたいだけどな。こんなにヨダレ垂らして、今にも出す勢いじゃね?」

『ハアッ…ん、やっ……いやだっ…あ、んんッ……やめて、おそまつ……』


 久しぶりに他人に触られる感覚に身震いしていたサカキの耳に、この場に異質のシャッター音が鳴り響いた。


『えっ……?』

ト「超レア物ー」


 スマートフォンをこちらに向けて言い放ったのは、先程から傍観をしていたトド松であった。


『な、なに撮って…ゃ、やめ……』

ト「この写真、カラ松兄さんに送ってあげようと思って」

『ッ!? だ、だめ……やめてくれッ……!』

ト「んー、どうしよっかなぁ…」

お「うわぁ、怖いねトッティ」

ト「え? おそ松兄さんには敵わないよぉ」

お「あ、でもその写メあとで俺にちょうだーい」

ト「お安い御用でーす」

お「つかさー、お前も興味あるんだな。あんだけ男は無いとか言ってたのに」

ト「何か面白そうだし? 僕も加わっちゃおうかなって!」

お「ハハッ、さすがトッティ。分かってんね」

『ッ………(な、何なんだよ…この悪魔二人組は!! だ、だれか助けて…)』

ト「そんなに怯えないでよ、サカキ。僕はサカキが痛がるような事は何もしないから」

『ッ……!』


 おそ松によって涙目になってしまったサカキは、優しく微笑むトド松の手が頬に触れた途端に思わず目を閉じる。


ト「ただ天国見せてあげるだけ」

『えっ……』


 不可解な言葉に理解できなかったサカキが再び目を開いた時には、既に口を塞がれていた。


『ンッ……ふうっ! ん、はっ……やめ…』

お「あー、兄弟のキスを間近で見るのって何かやだね」

『んあっ…はぁ、んッ……』

ト「ッ……サカキってキス下っ手くそだね」

『んっ、あふ……やっあ…ハアッ…トド松く…んんっ…!』

お「……まあこれはこれで可愛いか」

『んっ……!? ふあッ、やっやめて…んっん…』

お「んー? トッティのキスがそんなに気持ちいいの、サカキ?」


 サカキの耳朶を甘嚙みしながら、おそ松は手の動きも再開する。


『ふっんぅ…はっあっ、ん……やらッ…ハアッ…んっ、イク……んんッ…もうっ…』

お「ん、じゃあ一回イッとくか?」

『んあッ…は、んンッ……いく…んっハアッ…ん、はぅッ……!』


 ビクビク身体を震わせながら達したサカキに、おそ松は満足げに笑みを浮かべた。

 散々口内を弄ばれ続けた為に、トド松がようやく離れる時には、サカキは名残惜しそうに口から舌を伸ばしていた。


『ぁっ……はあっ、はあ…』

ト「イイ顔だね、サカキ」

お「キスだけでアヘっちゃって可愛い。年の割に経験浅いんだ?」

『んっ……ち、ちが…もうやめてくれッ……は、はなして……!』

お「ちょい待てって。…まだこれからだろ?」

ト「そうだよ。僕たちも満足させてくんなきゃ。ほら…家政婦なんでしょ、サカキ?」

『えっ……い、いや……』

お「それにまだまだこんなに元気みたいだし」

『ふあッ……』


 再び自身を刺激され、否応なしに身体が反応してしまう。


ト「天国見せてあげるって、言ったでしょ?」

『ひっ……ぃあッ! んっ…や、やあ…』


 さらに衣服越しにトド松の舌が胸の突起を滑り、サカキは完全におそ松に背中を預ける体勢になった。


『あっ……だめ、はっ…こん、な……』

お「蕩けた顔して、本当は嫌じゃないんだろ?」

ト「もっとイイ顔見せてよ、サカキ…」

『んっ、はぁ…あ、ンッ……』


 ──…嫌な筈なのに、もう何も考えられない。こんなッ……気持ちいいなんて。


 目元から溢れ出た涙すら舐め取られながら、サカキはおそ松とトド松の手によってどんどん快楽に溺れていった。



 
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