ps.I love you

□君が好き2
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冷たい檻の中から、貴方が私を見つけてくれた時

私が手にしたものは、信頼でも、愛でも、貴方でも無く、


…私はただ、自由を手に入れた






君が好き2




「…ここまでされて、まだ吐かんとはな」


ギシッと鈍い音を立てながら、その日適当に入ったラブホテルのベッドは小さく悲鳴を上げた。


「は…ぁ、…あんた、自分がテクニシャンだと思ってんの?」

あの厭らしくも涼しげな声でそう囁かれたら、
私だって黙っていられない。

拘束された両腕に少し、力を込めながら私は言う。


「…もう、諦めたら?
バカなペテン師……」


私が意味深な笑みを浮かべたのが最後。


「あっ…、や」

「…ちっとは、可愛いらしい事言えんのか」

…痛いんだよバカ。
っとに、指を噛むとかどんな趣味だよ。


「あんたに可愛いなんて思われたくもないからね、吐き気がする」

「いっ…、お前さんなぁ…」

今度は私が仁王の腕に歯を立てた。




「…あ、…んっ…」


幼稚な腹の探り合いをしばらく繰り返すと、
私達はただの男と女になる。


「くっ…、こん時ばかりは…、お前さんも素直で可愛いのにのぅ」


男に見下ろされるのは、好きじゃない。

でも、男の為に自分が疲れるのはもっと好きじゃない。


「…るさい、…バカ。」


だから私は、こいつに抱かれる時はいつも下になった。

自分でも鳥肌が立つ様な、甘ったるい声を発しながら…。




「…今日もただヤッただけになったの、うっちゃん」

行為を終えた後、さっさと制服を着る私の後ろで仁王が言う。
これも大体、いつもの事だった。

「何度こんな事されても無駄だから。
あんたの要望には答えない」

そう言って何事も無かったかの様に、私は部屋を後にする。


「そそられるのう、そういう気が強い所にはな…」


背中の方で薄気味悪い声で呟く、仁王を残して。
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