ps.I love you

□君が好き2
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ラブホテルに居る時間って浦島太郎の話に似てる。

もうすっかり暗くなってしまった空を見上げながら、よくそんな事を考えていた。


「何をしていたのです?こんな時間まで」

…そう、確かよくはじめちゃんにも会った。
私が仁王とああゆう事をした後に。


「やだっ、はじめちゃん。私の事付けて来たの?」

「そんな暇な事、バカでもしません」

相変わらずの小生意気な態度のはじめちゃん。
まぁ、はじめちゃんだから仕方ないか。


「…セリカ、貴方に話があります」

…はじめちゃんの声は、いつも真剣だった。

「貴方がやっている事はよく分かりませんが、良い事で無い事は分かってます。

自分が痛い目に合う前に止めなさい。」


…はじめちゃんが、私にこんな事を言う事は滅多に無かった。

いつもは私の方が3枚くらい上手だし、
はじめちゃんは頭は良くても勘が鈍い。

私がこういう事にかけては、超が付く程天才だって事も、
はじめちゃんは知っているはずなのだ。


「…返事がありませんが、分かったのですか?」


分かりませんよ、はじめちゃん。

貴方がどうしてこんなにも鋭くなってしまったのか、私にはさっぱり。




「…じゃー今度は、誰に相手してもらおっかなー」


私はおもしろがっていた。
だってはじめちゃんが珍しく心配してくれてんだもん。


「はぁ?セリカ、僕の言いたい事分かって…」

「しぃーっ」

私が急に近づいたからか、はじめちゃんは驚いて後ろへ一歩下がる。

私は自分と良く似た、はじめちゃんのクセのある髪を軽く指に絡ませる。


「…誰をくれるの?」

人一人通らない、薄暗い夜の道。
ぼんやりと光る街頭が、私とはじめちゃんの頭上で揺れていた。


「はじめちゃんの大事なあの可愛い後輩?
それとも、あのワイルドな部長さん?
あ、はじめちゃんが引き抜いた双子ちゃんもいたね…?」

はじめちゃんはわけが分からないのだろう

口をパクパクさせながら私の顔を不振そうに見つめていた。


「あ、でも悪いけどはじめちゃんはお断りね?
さすがに身内とそんな関係にはなりたくないからっ」

「っ!!?」

その言葉で、はじめちゃんはようやく何の話をしているのか分かったようだ。




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