番外編
□おお振り
1ページ/2ページ
夏川は、すごく野球の才能に恵まれてる
いや、野球に限られてる訳じゃないけど…
なのに、夏川はどこか孤独な感じがする
たくさんの友達がいて、仲間がいて、好いてくれる人達に囲まれているような時でも
夏川は、誰とも根っこのところではわかり合えないのを感じてるみたいで
固い絆でチームメイトと結ばれているときも、ふわりとした分断を、ひそかに心に抱きしめてるみたい
夏川は、聞いたことにしか答えてくれなくて
夏川から、話しかけてくることなんて片手に数えられる程度
しかも、それが部活の伝言とか
他のことはいつも夏川の足で立って
夏川の頭で考えてる
そんなとき、夏川を真に理解できる存在は自身なんだって思ってると思う
いつも微やかな孤独を抱えてる
どーして、こんなこと思ったんだろ
あぁ、そうだ…
夏川が、本当に笑ったところを見たことないからかな
昼のチャイムが鳴り響く
夏川の回りには、数人の女子
モテモテじゃん…
でも、夏川の表情ときたら無表情
俺たちと居るときはあんな顔してないな…
そのかわり俺たちは、夏川の作り笑顔をたくさん見てるよ
オレが聞いたら、夏川は答えてくれるかな?
.