短編

□黒バス (上)
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好きな人が付き合い始めた
片想いを続け2年が過ぎた頃だった

帰りに好きな人がクラスの人と一緒に帰っていた

楽しげな声色
嬉しげな表情

嘘だ、と言いたいけど2人が様になりすぎて自分に嘘とは言い聞かせられなかった

クラスの人の名前を呼び、

何してるのー?

と、呑気に聞いてみる

好きな人とクラスの人は、顔を会わせて笑いあった

胸が押し潰されそうだった

うまく頭が回らずに

あ、デートか!

自分を追い詰める言葉を吐いて…

また2人が笑ったのをみて、頭が真っ白になった

じゃあね

と言って、早歩きで帰った


頭の中がゴチャゴチャし過ぎて悲しむことすらできない
それ以前に、目の前の現実に目を背けようと…
わかっているのに…

胸のどこかでそれを拒絶している


考えているうちに家に着いた

モヤモヤが消えずに、放心状態が続いた

辛い、苦しい、
そんな気持ちばかり胸に溜まった

忘れてしまえば楽になれるのだろうか
忘れることなんてできない
あんなに思い続けていたのに
あんな表情をする貴方を見てしまったから…

忘れることなんて絶対にできない


忘れるとこが出来ないのなら、消えて無くなればいい
居なくなれば無になるんだから


さようなら好きな人

さようならクラスの人

さようなら自分


手首を切り、大量に血が流れる
痛い…

痛いけど、この胸苦しさに比べれば大したことない

この胸の苦しさが消えるなら命なんて安いもの



pi pi pi pi


朦朧とした意識の中でケータイが鳴る
ケータイに出た名前は…好きな人の名前

最後の最後で貴方からメールがくるなんて…



あぁ、早く自分を無にして…


目を閉じると一筋の涙が落ちた

これは何の涙なんだろう
なんて考えている時間はもう無かった





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