短編

□黒バス (上)
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どうして

自分は無になりたかったのに

また、生まれてしまったんだ…





死んだはず
いや、死んだ。

だって、鏡に写っているのは自分じゃない
体も顔だって全く違う

女だった自分が男になってる

ありえない、
ありえない、
ありえない、
ありえないっ、

どうして…

だけど、胸の苦しさはどこかに消えていた
無くなったならそれで良いのかもしれない

また、人生を送るなら
また、同じ間違いを繰り返してはいけない

大切な人を作ってはいけない
好きな人を作ってはいけない

それさえ守っていれば
きっと、苦しくはならない


大丈夫だよね


また、苦しくなれば
また、繰り返せばいい







「黒子っちー!どこっスかー!?」

あぁ、また探しに来てる
モデルの黄瀬くん
黒子くんを探しに毎回教室に来てはクラスの女子に騒がれ大変な目にあっている
まぁ、それでもモデルだから嫌な顔1つせずに対応してるところが凄い

「あ、ねぇ君!」

あ、なんか来た…
自分じゃないよね

黄瀬くんは、俺(私)の机に手を置いてこちらを見てくる

「黒子っち知らない?あ、黒子っちって言うのはね、影の薄くてポーカーフェ『黒子くんなら図書室だよ』ぁ、ありがとうッス!」

ドタバタしながら教室を出ていった
騒がしい人だ…

台風が去ったところで、鞄を開けて菓子パンを出す

今日は風が涼しいから中庭で食べよう
途中に飲み物でも買ってのんびりするか

教室を出たら何か大きな壁に衝突した

『あだっ』
「あ、ごめーん…だいじょーぶぅ?」

目の前には紫の頭をした人が立っていた
で、でかい…

『大丈夫…』
「そーぅ?ならいいけどー…ねぇ、そのパンちょうだい?」
『え、これは昼飯でこれから食べようと…』
「ダメなのぉ?」

なんだこのデカイ子供は
どんだけ食い意地はってんだ
成長期か!?それ以上成長してどーするっていうんだよ!?

あー、ダメダメ…
相手には嫌われとかないと

『自分の昼飯食べれば?』
「でも俺、それがいい〜」

ワガママ!
てか、時間無くなるから退けろ!

『あーもう、お前の昼と交換』
「じゃあ、これと交換ねー」

差し出されたのは、ご飯じゃなけりゃパンでも麺でもない

お 菓 子 …

『主食がいいんだけど…ご飯とかパンとか麺とか…』
「えー、じゃあこれはぁ?」

そう言って、
次に出してきたのは

ベビースターラーメン




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