本編
□それから…
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沖田&亜衣利Side
あれから亜衣利は沖田に手を引かれながら、部屋に連れていかれていた。
(小夏…屡架…助けて…)
亜衣利は怖くて心の中で助けを求めて、泣きそうになっている。
少し歩いていくと部屋に着き、沖田は中へと入っていく。入るのを躊躇っている亜衣利ににっこりと微笑み話しかける。
「何もしないから、入りなよ。」
「…はい…」
怖がりながらもゆっくりと中へと入り、襖を閉める。そして、沖田の近くに座る。
「名前、聞いてもいい?」
「工藤…亜衣利…です…」
「亜衣利ちゃん、かぁ…可愛い名前だね。僕は沖田総司。よろしくね。」
「沖田…総司さん…よろしくお願いします…」
手を前に合わせて頭を下げる亜衣利に少し笑ってしまい、すぐ謝った沖田を首を傾げて見つめる。
「ごめん…あまりにも緊張してる感じが可愛くて…」
「可愛いなんて…」
「可愛いよ、亜衣利ちゃんは…」
にっこりと亜衣利に微笑むと髪止めの紐をほどき寝る体勢に入ろうと支度をし始める沖田をじっと亜衣利は見つめる。
その視線に気づいた沖田は首を傾げる。
「どうしたの?」
「…紐…」
「紐?これのこと?」
亜衣利がそう言うと沖田は目の前で紐をヒラヒラとさせる。それを見たとたん、亜衣利は沖田に飛びつく。
「あ、亜衣利ちゃんッ…!?」
「ニャッ…」
「…もしかして」
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