本編
□真実
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「そろそろ、土方さんにお茶を持っていかなきゃ…」
そう言って仕事をしていた屡架はいそいそとお茶のしたくをしていた。準備が終われば、早歩きで土方の所へ行く。
向かう途中、屡架は小夏に声を掛けられた。
「あれ?屡架じゃん。」
「あら、小夏ちゃんどうしたの?って、傷だらけじゃない…何したのよ…」
「えっあぁ〜、はーくんに稽古つけてもらってたんだけど、夢中になりすぎちゃって…」
「はーくん?」
「斎藤さんのこと。」
あはは〜。と笑いながら言う小夏を縁側に座らせて、傷を見始める。傷はそこまで深くなく、かすり傷が多かった。
「うん…薬を塗るだけで大丈夫ね…今から持ってくるから待っててちょうだい…」
「良いって、土方んとこにお茶持ってくんでしょ?私は大丈夫だから…」
「そう?」
「小夏っ!!」
「ほら、はーくんも来たし大丈夫だよ…ほら行った行った…」
「わかったわ。薬ちゃんと塗るのよ?」
屡架はそう言いながら、斎藤に一礼してその場を後にする。小夏は手を振り、斎藤の方を向く。
「…薬って何処にある?」
「今、持ってくる…」
「ありがとう…」
土方の部屋の前に着き、屡架は一言声を掛け、部屋へと入る。そして、手をつき一礼する。
「お茶をお持ちしました…そろそろ、お休みになった…ッ!!」
屡架が顔を上げ土方に目を向ければ、隣に見知らぬ女性の姿があった。
「屡架か…間が悪い…」
「……」
ため息をつく土方を凝視している屡架は驚きの余り言葉を失った。どうして土方の隣に見ず知らずの女性がいるのか、それが今の屡架には状況が飲み込めない。
「あっ…んぐっ!!」
「お前は黙ってろ…屡架、あのなこいつは…」
「あれぇ〜屡架、どうしたのかにゃ?……なな浮気ッ!!」
「ん?亜衣利どうかした……あれ〜土方さん女の人連れ込んでるんですか?いけませんよ〜」
ちょうどその場を通りかかったのは亜衣利と沖田だった。屡架が中に入らないのに不思議に思った亜衣利は、部屋の中を覗くと有り得ない光景に指差し驚く。沖田も逆に亜衣利の驚きに不思議がり部屋を覗く。そして、ニヤリと笑い皮肉めいた言葉を発する。
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