本編
□大騒動っ!?
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「みゃぁ〜♪」
「しぃー泣いちゃだめッ!!皆にバレちゃうッ…」
「にぃ?」
屯所の一角、亜衣利がしゃがみながら着物の袖にすっぽり入っている猫に話し掛けている。誰にも言わずに捨てられていた仔猫を拾ってきたため、亜衣利の心拍数は上がりまくっていた。
「よしっ…誰もいないし、部屋に急ごうッ…」
亜衣利は小走りで部屋へと向かう。運良く誰にも見付からずに来ることが出来れば、仔猫を外に出す。
「にゃんっ♪」
「にゃんっ♪可愛い〜君は何であんな所にいたの?」
「にぅ…」
「ふむふむ…酷い飼い主さんだね…私はそんなことしないからね♪」
「にゃんっ」
「くすぐったいッ…」
亜衣利は猫の話が分かるらしく、今までの経緯を聞いていくと内容がかなり酷だったらしく優しく猫に話し掛ける。亜衣利の優しさに心を許したのかすりすりしてくる。くすぐったそうにしている亜衣利も嬉しいのか笑顔ですりすりし返す。楽しそうに話していると襖が開く。
「亜衣利、さっきから何一人で話して……亜衣利?」
「わわわわッ!!総ちゃんッ…声掛けてから襖開けてよッ!!着替えてたらどうするのッ!!」
「それはごめん……何隠したの?」
「ッ!!か隠してなんかっ…」
「にゃんっ♪」
「あぁ〜…」
突然入ってくる沖田に猫が見つからないように隠していたが、背中を伝って頭の上に乗ってしまう。亜衣利は慌てて猫を隠すが既に遅く、沖田の手によって猫を取られてしまう。
「…この子何?」
「…ネコチャン…」
「そんなのは見れば分かるのっ!!屯所に猫入れないってあれほど言ったよねっ!!」
「そうだけど…その子捨てられてて…」
「拾って来なければ良いことなのっ!!早く捨ててくるっ!!」
「そんな…総ちゃんには思いやりの心はないのっ!?」
凄い剣幕で言う沖田に少し泣きそうになりながらも亜衣利も言い返す。その言い返され言葉に沖田は言い返すことが出来ずに黙る。黙っている沖田から猫を奪えば、亜衣利は泣きそうな目で睨み付ける。
「総ちゃんは、この子の経緯を知らないからそんなことが言えるんだよッ!!もういい、屯所にいなきゃいいんでしょ?外にいるからいいよっ!!」
「亜衣利ッ…!!」
沖田の声など聞こえないみたいに走って屯所を出ていってしまう。
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