本編
□酒は飲んでも飲まれるな
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「なぁ、土方さん。久しぶりに息抜きしてきたらどうだ?」
ある日のこと、仕事の休憩をとっていた土方に左之が話しかけた。いきなりのことに土方は驚いたが直ぐに呆れたように言い放す。
「息抜きが出来る状態か?忙しいんだぞ?」
「だけどよ…土方さんがぶっ倒れたらどうもこうもねぇだろ?」
「……そんなに休ませてぇのか?」
「神咲が心配してんだよ…俺、一応あいつらの相談役だからよ…」
屡架の名前が出てくれば、ビクッと身体を震わせ、左之をガン見する。左之がそのガン見に一歩後ろに下がれば、土方はひとつため息をつく。
「そうか…なら、息抜きでもするか…」
「ならよ…島原行ってきたらどうだ?」
「島原?…行くかそんなのとこ。」
「確か…神咲たちが今日、仕事の手伝いで島原に…いいのか?今頃変な奴に襲われてたりしてなぁ〜…」
左之の言葉に少し顔を歪める。そんな土方の方を叩き、にっこりと微笑む。
「なぁ?楽しんで来いよ。総司や斎藤も行くみたいだしな…」
「…あぁ、」
土方の返事を聞けば、左之は安心したようにその場を去っていく。
土方はため息をつき、沖田たちの所に向かう。
「あれ?土方さんも言われたんですか?」
「あぁ…その前にだ。何で屡架達が島原にいるか知ってるか?」
「副長が指示したんじゃないんですか?」
「するわけねぇだろ……」
屡架達が島原に潜入していることを知らなかった土方は、その真相を問いただすが沖田たちも真相を知らず、結局迷宮入りしてしまった。
「まぁ、心配だから行きましょうよ。」
「真相も知りたいしな…」
「そうですね…所で何処の店何ですか?」
「一君、聞かなかったの?だらしないなぁ〜」
「そう言う総司は知っているのか?」
「知らないよ?」
「はぁ…やはり総司は使えんな…」
「一君も人の事言えないでしょっ!?」
「止めろっ!!」
良い争いを始める沖田と斎藤に渇を入れ争いを止める。2人の行動がピタリと止まり、視線が土方に集まる。
「俺が知ってる…行くぞ。」
「知ってるなら早く言ってくださいよ…」
「…流石、副長…」
3人は屯所を出て島原へと向かって行った。
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