本編

□恋人
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「今日も良い天気。洗濯日和だわ……」



屡架は洗濯物を干しながら心地良さそうに背伸びをする。そんな屡架の背後に人が忍び寄っていた。



「後ろがガラ空きですよっ!!むぎゅぅ〜っ!!」


「っきゃあああああーっ!!」



その人影は屡架に抱きつき、胸を揉みあげる。それに驚き、屡架の悲鳴は屯所中に響き渡った。






「なぁ、響…何で屯所に来てるんだ?」


「左之に会いに来た。じゃ、ダメ?」



屡架の悲鳴に隊士達が集まり、今は集会場に集まっていた。人影の正体は新見響(にいみひびき)だった。響は左之助の幼なじみであり恋人でもある。そんな響を目の前に左之助は呆れて声は出なくなっている。



「ハァ…本当の理由は何だ?」


「そんなもんあるのか?」


「土方…酷くない?私も意味無く来ないわよっ!!」


「この前は意味無く来たけどね。」



小夏はそう呟いて、屡架と亜衣利を庇うように前に出る。響はぽけっとした顔をして3人を見つめる。そして、あの時の事件を思い出したのか、罰が悪そうに頭を掻く。



「アレは…ねぇ〜あはは。左之助けてっ!!」


「自分でどうにかしてくれ…」


「ひ、酷いっ!!」


「気味が悪いんでしょ?何で左之さんはこんな子と付き合ってるんだか……」


「総司、言葉を慎め……」


「はいはい。」


「あの〜……」



皆が話に夢中になっていると突如、廊下の方から小さな女の子の声が聞こえてきた。皆がそちらに視線を向けると茶髪の女の子が立っていた。



「わぁー可愛い子…」


「総ちゃん……」


「嘘嘘。亜衣利が一番可愛いよ。」


「ハァ…であんたは誰だァ?新選組の敷地内に無断で入るとはなァ……」


「ご…ごめんなさい…」


「あれ?黎ちゃん…」


「響ちゃんっ……助けてぇ〜やっぱり無理ぃ〜」



黎と呼ばれた女の子は響を見つけると倒れ込むように抱きつく。響は落ち着かせるように背中を優しく撫でる。そんな光景を皆は黙って見つめる。



「あぁ〜見回り終わったぜ〜土方さん。って…黎?」


「新八さん?」



見回りを終えた新八と平助が疲れた感じで集会場に来ると新八は黎がいることに驚いた。








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