本編
□遭遇
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「はーくん用のお豆腐も買えたし…よしっ!!おつかい終了っ♪」
小夏は忙しい屡架に代わって町におつかいに来ていた。買い物を全て済ませ、ご機嫌で帰路を進めていく。
「離してっ!!」
「良いじゃん。ちょっとだけお話ししようよ。」
目の前の茶屋で女と男が言い争っていた。小夏は居てもたってもいられず、女を助けようと駆け出す。
「あんた止めなさいよっ!!この人怖がってるでしょっ!!」
「何だァ?餓鬼はすっこんでな。」
「餓鬼ぃ?……あはは、カチーンときちゃった……」
小夏は低い声で笑えば拳を作り今にも殴りそうな勢いな体制になる。しかし、後ろから聞き覚えのある声がする。
「大丈夫かっ!?」
「あれ?」
「あっ、小夏じゃん……」
そこに現れたのは平助だった。走ってきたのか平助は息を切らせながら話しかける。小夏に気付けば驚いたように目を見開く。
「平助?どうしてここに?」
「お知り合い?」
「あぁ…」
「あっ!!もしかしてっ!!ゆゆ雪弥さんっ!!」
「……はい、そうですが…何故、私の名前を?」
小夏が大声で名前を言うと驚いたのか、びくっとしながらも疑問を問う。その問いに答えたのは小夏ではなく平助だった。
「多分、響だと思う。この前、俺が慌てて来たときあったろ?その時だと思う……」
「そう…なら良いけど…あの…初めまして、宮本雪弥です。一応、平助の彼女みたいな感じです。」
「みたいなって、酷くないか?」
「平助ってそんな扱いされてんの?」
「あはは…悲しいよ…」
「平助……?私の事嫌い?」
ガックリと項垂れる平助を見た雪弥は腕にきゅぅーと抱きついて、上目遣いをする。そんな雪弥にきゅんっとしたのか平助は勢いよく抱きしめる。
「っ〜〜っ!!//」
「やっぱり可愛いっ!!」
「……のろけ?何かどうでも良くなってきた…」
小夏は目の前で繰り広げられる愛に溜め息をつき、その場を去っていった。買い物を片手に帰り間際に雪弥を誘った男の脛を思いっきり蹴って……
END