本編
□真実
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「どういうこと？」
「斎藤さん、何か知ってるの？」
「…副長は、神咲を大事にしたいと言っていた、大切にしたいとも…そんな、副長が他の人に行くだろうか…」
淡々と話す斎藤に小夏と亜衣利は目をぱちくりさせる。屡架は腫れた目を向ければ、首を傾げる。
「屡架ッ!!」
しばらくの沈黙の後、遠くから土方が屡架の名前を呼び此方に向かってくる。そして、即抱きしめる。
「ひじ…かた、さん？」
「屡架…」
名前しか呼ばない土方に屡架は抱きしめ返そうと手を背中に伸ばしたとき、
「離せッ!!」
「「「「ッ!!」」」」
と女の声が響き渡った。皆がそちらに目を向ければ、沖田に連れられた女がいた。そして、その女を見たとたん、小夏はすごい剣幕で近付いていく。
「あんたさぁ〜何であんな土方が良いわけ？ただの仏頂面した男じゃん…てか、土方にはもぅ、屡架がいんのッ!!あんた邪魔なの…とっとと出てってくんないッ!!」
「小夏〜言い過ぎだにゃ…でも、同感ッ!!」
「あのさぁ〜君ら勘違いしすぎ…」
二人の剣幕にも狼狽えず、沖田の拘束から逃れれば、土方に近付いていく。
「邪魔…」
「退かねぇぞ？」
「…屡架さんに抱きつけないじゃないッ!!」
「「はぁ〜ッ!!」」
女の一言に小夏と亜衣利は驚き大声で騒いでしまった。五月蝿かったのか、女は耳を押さえていた。意味が分からず、頭を傾げ悩む亜衣利に、沖田は後ろから抱きついてゆっくり説明する。
「その子はね？土方さんじゃなくて、神咲ちゃんに興味あるの…それで、土方さんが色々説得してた時に、神咲ちゃん現れちゃって…」
「私に？」
「でも、尊敬くらいなら良いんじゃないのさ？」
「それがよぅ…こいつ、ヤバイんだ…」
「聞いたら、引くよー…」
顔を青ざめる土方と沖田を交互に見つめた後、小夏は意味が分からず首を傾げる。
「屡架…耳塞げ、お前には聞かせたくない…」
「はい…」
大人しく耳を塞ぎ、土方も大事そうに屡架を抱きしめ返し、女を見つめる。
「何？言えって？」
「あいつらが気になってるからなぁ…」
「そう…いいの？」
「良いよ…覚悟はできてる…」
「うにゃ、私も聞いて良い？」
「ん〜本当は嫌だけど…良いよ。」
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