本編
□素直な気持ち
2ページ/6ページ
「はーくん、違うのッ…私、ちゃんと断ったから…」
「おやおや、可愛いLadyだ。」
「ッ!!」
ロベルトは必死に説得している小夏を後ろから抱きしめ、斎藤の見せつけるように唇に接吻をする。それを見た斎藤は、急いでロベルトから小夏を奪い抱きしめる。小夏はというと、涙目になりながら着物の裾で唇を拭っていた。
「Oh…傷付きますね…まぁ、今日のところはこの辺にしておきます…good-by♪」
ロベルトは手を振り去っていった。小夏は斎藤に抱きつき、鳴き始める。斎藤は優しく抱きしめて、髪を撫でる。
「はーくん、ごめんなさい…」
「謝ることではない…俺がお前を一人にしたからだ…」
斎藤はそう言って、泣き続ける小夏を姫抱きをする。突然の事に言葉を失う小夏に優しく声をかける。
「大丈夫だ…屯所に戻ろう…」
「うん…」
「ロベルトか…気を付けなくては…」
「あれ?仲直りしたんだ…つまんないなぁ〜」
「小夏、泣いてる?」
屯所に戻れば、沖田と亜衣利が庭で遊んでいた。斎藤が帰ってきたのに気付いた沖田は話しかける。亜衣利も二人に近寄って行き、小夏を覗けば泣いているのに気づき不安になる。小夏は無理に笑い"何でもない"と一言だけ言う。斎藤は沖田と亜衣利に"すまない"とだけ言い、すたすたと中へと入っていく。
「どうしたんだろう…」
「さぁ?二人で解決するんじゃない?」
「小夏…少し待っててくれないか?」
「あっ、うん…」
「すぐ、戻ってくる。」
斎藤の部屋に着けば蒲団を敷き、そこに小夏を寝かせる。優しく髪を撫でれば、斎藤は部屋を出ていく。一人になった小夏は少し心細くなって、蒲団の中で小さく丸まる。
暫くして、斎藤が何かを持って部屋に戻って来た。小夏が斎藤の方を振り向けば、桶を持っていた。それが何なのか分からず、小夏は首を傾げる。そんな、小夏に微笑み掛ければ、近くに腰掛け目に温かい布を置いた。
「少しは楽になるだろう…」
「ありがとう…//」
「小夏…あいつは本当に婚約者なのか?」
「…多分…父様が決めたから分からない…」
「そうなのか…」
話が終わり沈黙が続く。どうしたら良いのか、そんなことを小夏が考えていると、斎藤に手を握られた。
.