本編
□素直な気持ち
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あの事件から数日が経った。何かをしてくると思っていた小夏は不思議でたまらなかった。
「何で、なにもしてこないんだろ?」
そんなことを呟き、縁側で足をバタつかせながらくつろいでいた。しっかりと、警戒しながら。
今日は隊士の皆は、巡察と諸事情で屯所は手薄だった。小夏はそんな中、斎藤さんの帰りを待っていた。
暫くして、玄関の方から音がして、小夏は小走りでそこに向かった。
「はーくん、おかえりー…ッ!!な何で…」
斎藤だと思っていた小夏は勢いのまま、挨拶をしてしまった。しかし、実際目の前にいたのは恐れていた、婚約者ロベルトだった。小夏は顔色を変え、後退りをする。
「逃げるのですか?まだなにもしてませんよ?」
「……何しに来たの?」
「何しに、貴女を奪いに来たんです…」
「そう…でも、私は捕まらない…」
言い終わると同時に小夏は庭の方へと逃げる。ロベルトはため息をひとつつけば、小夏を追いかける。
「(はーくん、早く帰ってきてッ!!)」
「走るの早いんですね…でも、直ぐ捕まりますよ?」
「ッ!!」
直ぐに追いついたロベルトは小夏の手を引き、廊下へと押し倒す。悔しそうな顔をしながら、ロベルトを睨み付ける。
「怖いですね。しかし、男の力に掛かれば、女性の力は弱い…ご存じですか?」
「何が言いたい…」
「女性とは快楽落ちてしまえば、男の手玉になってしまうのですよ…貴女も同様に…」
ロベルトは妖しく笑うと、小夏の着物へと手を掛ける。そして、脱がし始める。突然の事に小夏は動けずにいたが、直ぐに我に戻り、抵抗をする。
「止めろッ…へん、たいッ…」
「おやおや、抵抗してはいけませんよ?」
「いやッ…たすけてッ…は、くんッ…」
楽しそうにしているロベルトは、小夏のサラシを取ろうと背中に手を回した途端、首元に光る物体を捕らえた。よく見れば、それは刀だった。小夏が目の前を見るとそこには、斎藤が刀をロベルトの首元に向けていた。
「貴様…小夏に何をしようとした…答えようによれば、命はないぞ?」
「Sorry Sorry.」
「はーくん…」
謝るロベルトを睨めば、名前を呼ばれ小夏を見れば、着物は着崩れ、髪は乱れ、ボロボロだった。斎藤は怒りに達し、刀を振りかざす。
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