本編
□素直な気持ち
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「止めろ、斎藤。そんなことしても、綾川が悲しむだけだぞ。」
「ふ、副長…」
斎藤の刀はロベルトに振りかざされると思ったが、間一髪、屯所に戻ってきていた土方によって阻止された。斎藤はいきなり現れた土方に驚き、刀から力が抜け床に落ちる。
「小夏ちゃんッ!!」
「屡架…」
「良かった、無事で…」
屡架も戻ってきていて、小夏に羽織を掛ければ優しく抱きしめる。小夏も弱々しく抱きしめ返す。そして、屡架はロベルトを睨み付ける。
「貴方、何をしたか分かっているの?ここは大和よ、貴方のいる国とは全く違うのよッ!!」
「Oh〜beautiful♪」
「え?」
「なんと美しい…大和撫子とはこう言うことなのですね。私の妻に…」
ロベルトは屡架に近寄り、手を差し出す。それを見ていた土方は顔色を変え、ロベルトの襟元を掴み、引きずっていく。
「こいつの処分は俺がする…屡架、部屋に戻ってろ。」
「はい。」
「斎藤、綾川頼んだぞ。」
「分かりました。」
土方はそう言って去っていった。
「嵐が去ったみたいね。まぁ、土方さんに任せたら大丈夫よ。もうあの人現れないわ♪」
「ありがとう…」
「お礼は斎藤に言って?私は部屋に戻るわね。」
屡架はそう言い残し、去っていった。残された小夏と斎藤は二人見つめあう。
「ッ…//はーくん、助けてくれてありがとう…」
「いや、俺がお前を一人にした。助けるのは当たり前だ。」
「うん。でも、ありが、とぅッ…うッ…ひくッ…」
「小夏ッ…」
「こわかった…こわかったよぅ…」
斎藤が抱き締めれば、小夏は泣き崩れた。そんな、小夏を優しく強く抱きしめ続ける。
長い時が過ぎた。泣きつかれた小夏は、斎藤に抱き着いたまま眠りについた。
→オマケ