本編
□大騒動っ!?
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「どうして…私は可愛くないこと行っちゃうのかな?…総ちゃんに嫌われちゃうよ…」
「にぅ…」
「大丈夫だよ…」
亜衣利は仔猫を抱き締めながら江戸の全体が見える丘に来ていた。不安になった亜衣利に仔猫は優しく鳴き頬を舐めてくる。そんな優しさに微笑めば、桜の木の幹に腰掛ける。
「ねぇ…君は一人で寂しかった?」
「にゃ……」
「寂しいよね…私も寂しいよ…あんなこと言うつもり無かったもん…私、バカだ…」
仔猫を抱き締めながら亜衣利は悲しくなり泣き始める。仔猫も心配なのかオロオロしながら、顔を見つめている。涙腺が潤んでしまい、涙を止めたくても止められず泣き続けている。
「うッ…ひッく…ッ…」
「泣かないでよ…」
「えっ…?総ちゃん…?」
ふと後ろから声を掛けられ、後ろを振り向けば沖田が立っていた。優しく羽織を掛け、抱き締める。
「ごめん…僕があんなこと言っちゃったから…」
「ううん。私が悪いの…でもなんでここ分かったの?」
「綾川と神咲ちゃんに聞いた…そしたら、ここだって…」
「あっ、そうか…二人は知ってるんだった…」
「にゃ…」
「あっごめん…忘れてた訳じゃないよ?」
「亜衣利…屯所に戻ろう?猫は僕に任せて?」
真剣な目で言ってくる沖田に亜衣利はゆっくり頷く。そして、手を繋ぎ丘を降りていく。その間、亜衣利は心配そうに猫を見つめていた。
「土方さん、ちょっと良いですか?」
「あぁ…入れ。」
屯所に戻った二人は土方の部屋へと来ていた。土方の返答が返ってくれば、沖田は中に入っていく。亜衣利はと言えば入口の辺りに立ち止まり、入るのを躊躇っている。
「亜衣利、入ってきなよ…」
「でも…怒られちゃう…」
「ん?どうした工藤…」
「何でもないです……あっ!!」
「にゃぁーッ♪」
「うおっ!?」
亜衣利が部屋を去ろうとした途端、腕の中にいた仔猫が飛び出し、土方に飛びつく。それと同時に土方は驚いて声を出す。何が飛び付いたか分からなかった土方はその物体の首の上を掴む。
「猫?何で猫がいんだよ…」
「あーそんな持ち方しちゃダメですッ!!」
「そうですよ…土方さん、離してくださいッ!!」
「俺の話は無視か…」
土方は仕方なく仔猫を離してやる。
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