本編
□酒は飲んでも飲まれるな
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「君菊さんに此処に通されたけど何かあるのかな?」
「どうだろうな…それより、屡架だ…」
「小夏も何処にいるのだろう…」
ある御座敷に通された土方達はこれから何が起こるのか分からずに仕方なく座って待っていた。暫くすると襖の奥が騒がしくなり、不思議に思った沖田が襖を開けようと手を掛けた途端、勢いよく襖が開く。そして、鮮やかな芸子が沖田へとぶつかった。
「だ大丈夫?怪我……あ、いり?」
「にゃ?総ちゃんだぁ〜」
「どうしたの?その格好…」
「ん〜、秘密。皆もお洒落をしてるんだぁ。」
亜衣利だと気付けば沖田は疑問を投げつける。しかし、亜衣利は曖昧な返事をし、土方たちに屡架と小夏を見せ付ける。綺麗になっている屡架達を見れば、土方たちは言葉を失い顔を赤く染める。
「土方さん、顔が真っ赤です……」
「お前が綺麗すぎるんだッ//」
「ッ…あ、ありがとうございます//」
「はーくん…私、似合うかな?//」
「あぁ…似合っている…//」
「あっ、ぅ…ぁり、がと…//」
「皆、初々しい♪」
皆の反応を見て、亜衣利はニコニコ笑いながら楽しんでいる。沖田はそんな亜衣利を後ろから抱きしめ、小さな声で耳元に"君もね"と囁く。
「で、そんな格好してるんだ。何かしてくれるんだろう?」
「勿論です。」
「今日は貸し切り、出費は全て左之さん任せ〜拍手♪」
「亜衣利、気分上がりすぎじゃない?」
「まぁ、良いんじゃない?料理は全て屡架が作って、甘味は亜衣利…文句ないでしょう?」
「小夏は何かしなかったのか?」
「……一応、手伝いはした…」
小夏は自分の言葉に嬉しそうな顔をする斎藤に少し照れてしまい、"料理頼んでくる"と言って部屋を出ていく。
「ありゃ?小夏行っちゃった…」
「あの子、照れ屋さんだから…私たちも料理を運びましょうか…少し行って参ります。」
「あぁ…気を付けろよ?」
「はい。亜衣利ちゃん行くわよ。」
「にゃんっ♪」
ゆっくり歩いていく屡架の後をてくてくおぼつかない足取りで着いていく。そんな亜衣利を見てか、沖田は心配になり手を取る。
「お姫様、僕も手伝いますよ。」
「にゃ…そぅ、ちゃん…//」
「あら、良かったわね。亜衣利ちゃん…」
「にゃぁ//」
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