本編
□恋人
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「どうしたんだ?」
「近くに来たから…ごめんなさい…」
黎はそう言って新八に近づき抱きつく。そんな黎を新八は安心させるように頭を撫でる。その光景に響はにこやかに微笑みながら見つめている。
「やっぱり、彼氏さんの方が落ち着くんだね。」
「……彼氏?」
「あはは、空耳だよ。」
「新八さんに彼女がいるわけないじゃん。」
「それもそうだな。」
「いたら驚きだ……」
「皆さん、言い方が……」
「信じてないと思うけど正真正銘、新八さんの彼女だよ。」
『えぇっーー!!』
皆は平助の言葉で確信を得たのか驚きの声をあげる。
「この度は急に押し掛けてすいませんでした…美作黎と申します。」
黎は新八の膝の上にすっぽり手と収まり丁寧に挨拶をする。そんな可愛い黎に女性陣はにっこりと微笑む。
「黎ちゃんだね。よろしくね。私は綾川小夏。」
「にゃ〜私は工藤亜衣利だにゃぁ〜」
「私は神咲屡架です。よろしくお願いしますね。」
「はい…よろしくお願いします……新八さん…離していただけませんか?」
「すぐぶっ倒れるからな…嫌だ…」
「愛されちゃって良いなぁ〜私も左之〜」
「しゃあねぇな…」
左之は溜め息をつくと優しく微笑み手招きをして膝に座らせる。それを見ていた亜衣利も羨ましくなったのか沖田に抱きつく。
「なんだこのイチャイチャ加減よ〜…」
「仕方ないですよ。皆さん、恋がしたいんですよ。」
「屡架が言うと説得力あるな。よっと…そろそろ仕事に戻るか…」
「お手伝いします。」
土方は"対処しとけよ。"と皆に言い残し集会場を後にする。屡架もお辞儀をして土方の後を着いていく。
「んー暇だね〜はーくんこの後はお仕事あるの?」
「少し執務が残っている。」
「そっか。なら邪魔にならないようにここで待ってるね。」
「あぁ…」
斎藤は罰が悪そうに小夏の頭を撫でてその場を後にする。残った小夏は背伸びをして立ち上がる。
「よし〜初めましての感じで遊びましょうっ!!」
「わりぃな小夏…黎は体が悪くてあんまり激しい運動が出来ねぇんだわ。」
「ごめんなさい…私は見てますので皆さん楽しんでください。」
悲しそうな顔をして、無理に笑う黎を見て響は溜め息をつく。
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