NOVEL..
□泣き出したのは、
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「フレア、今日も晴れだよ」
「フレア、今日もって、昨日は曇りだったよ?」
他愛もない会話。
誰もいない、私たちだけのこの世界。
「フレア、」
彼は私を呼んだ。
「なあに?フレア」
私たちは、私たち以外の人を知らない。
「フレア、私、なんだか悲しいよ」
この悲しみの理由(わけ)すらわからない。
「僕はなにも悲しくなんてないよ」
だって、フレアがいるから。
そうだね、私も悲しくなんかない。
フレアがいるから。
フレアが、涙を流した。
真っ赤な涙を流した。