いろいろ

□Menstruation
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※生理ネタ。血の描写あり。
※金ちゃんが気持ち悪い。ほぼ犯罪者。
※裏ですが、実際アレを突っ込んだり「あんあんらめえ」展開はありません。

以上をお読みの上、おkばちこい!な方はスクロール。気分を害されても一切責任は負えません。











 危険な仕事ならなんでも請け負います。

 これが万事屋の基本スタンスだ。それを決めたのは俺。理由は簡単、その方が仕事にやる気が出るからだ。猫探しだの浮気調査だのしてるよりは幕府の用心を暗殺したりするほうが面白みもスリルもあるってもんだろう?

 だが、今は危険な仕事しか請け負わないと決めた自分を全力で恨みたい現象に陥っていた。

「いてぇ……」

 きりきりと痛む腹を押さえて、その場で蹲る。ふつふつと汗が浮かび、きっと今自分は苦悶の表情を浮かべていることだろう。

 女に生まれたことを後悔するそれ。月が関係していると言われ、大人の女性なら誰しも経験あるであろう事が原因の痛み。所謂、生理痛である。


 今万事屋は深刻な金銭難だ。またずいぶんと泰平の世になったもんで、俺が職とする危険な仕事なんて以前に比べずいぶんと減ってしまった。仕事がなければ金はたまらない。このままだと万事屋の住民(また子とかほかの野郎共とか)も俺と一緒に仲良く飢え死にしてしまう。一刻も早く仕事が欲しい。そんな深刻な事態のなか、今日は数ヶ月ぶりに仕事が入った。報酬は30万。任務の内容はある幕府要人の暗殺。勿論請け負わないわけがない。

「ぐっ、くそ……」

 そう、その日があの日2日目、出血多量の日だったとしても、どんなに腹が痛くても仕事を休む事などしない。それが大人であり、俺のプライドでもある。下半身から生ぬるい不快な物が出て行く感触に眉間に皺を寄せながら愛用の日本刀を腰にさし、黒く長いブーツをはいて、任務を達成すべく外へ出た。


 街を歩いていると、足を動かすたびにどっと血が流れて余計に不快感が増す。サラシを巻いた、生理中の為張ってしまった胸が歩くごとに揺れて、キリキリとした形容しがたい痛みも訪れる。その事に無性にイライラして、それと同時に悲しくなってくる。確かイライラするのもホルモンバランスのなんちゃらが影響だったはずだ。糞が死ねホルモン。そんな事に怒っている中、ふと誰も連れてこなくてよかった、と思った。誰かいたら今頃きっと小さい事でイライラして喧嘩になっていたことだろう。

「…早く終わらせて家に帰ろう」

 貧血が酷くなっちまう前に。ああ、なぜ女にはこんな面倒くさい事があるのだろうか。さっぱりしている男を恨みたい。男のことぶっ壊してやる。

 若干卑屈になりながら重い足を叱責し、よろよろとターゲットの居る場所を目指した。










 任務は予想していたより長く続いた。昼ごろに万事屋から出てきたというのに、あたりはもう真っ暗だ。だが、結果的に無事任務は遂行した。一人余計な人物を殺してしまったが、まぁ、結果オーライだろう。あんなところで悲鳴を上げるのが悪い。恨むなら自分を恨め馬鹿めが。

 ぶんっと刀を振って刀についた血を落とす。ターゲットを殺した後大勢の人物に見つかりそうになって走って逃げてきた為とてもつかれた。適当な建物の影に身を潜め、ふう…と溜息をつく。足場が汚くないことを確認して、その場にしゃがみこんだ。一瞬眩暈に襲われたけど、必死で持ちこたえる。しかし、疲れた。走った為生理の血がどばどば出てもう貧血も限界だし、腹もきりきりと痛い。とてもじゃないが今日このまま歩いて家に帰るなんて無理な話だ。どこか近場の安いホテルにでも泊まろう。そう結論づけて少々脳内を整理する。

 泊まるのはいいが、此処、どこだっけ? 確か人を隠すなら人の中の原理で、人が沢山居そうな明るいところに逃げてきたから、たしか……。

 建物の影から頭だけ出し、辺りを見回した。夜なのに明るい街、煌々と輝く色とりどりのネオン、きらきらと着飾った若い男、女、妖しい色の看板…。

「……げっ」

 最後に自分の寄っかかっていた建物の看板に目を向け、最悪な気分になったところで急に猛烈な眩暈に襲われ、俺は意識を手放した。
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