いろいろ

□誇らしげな満月は闇を嘲笑う
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※銀土要素有
※高杉と土方が女体(先天性)。
※妊娠・流産・鬱要素有←超大事
※視点を誰に置くかでハッピーエンドになるかバットエンドになるか変わります。
※気持ちのいい終わり方ではないです。
※R15くらい…? 別に15歳以下もご覧になっていいですが、責任は取れません。
※マジで胸糞悪いです。戻るなら今です。
※管理人は土方大好きです。

※「俺は銀高上級者だァァァァ」な方のみどうぞ。







※ 高杉目線


 俺と銀時は幼馴染だった。
 小さいころから家が近くて、よく遊んでいた。俺は生まれつき片目の視力が無くて、片目に眼帯をしていた為近所の悪ガキに苛められることが多々あったが、そんなときは何時も銀時が守ってくれた。銀時は生まれつき銀髪で、そんな変わった容姿を持つというハンデがあるにも関わらず、誰からも苛められずに自分よりガタイの大きな奴らに真っ向から喧嘩を挑んでいく姿に俺は憧れていた。…憧れが、恋に変わるのはそう長くはなかった。

 高校生のときにとあるキッカケから思いがけず銀時に告白をしてしまった俺は、なんと銀時も俺が好きだったことを知った。叶わない恋だと思っていたから、本当に嬉しくて、感動で涙する俺を銀時は照れくさそうに抱きしめてくれた。押し付けられた学ランの背中へと腕を回して、二人抱き合った。

 大学生になって、銀時と俺は同じ大学に入学し、結婚も視野に入れ同棲することになった。若い男女の同棲だ。俺達は毎晩盛り上がった。銀時が「どうせ結婚するんだから中に出してもいいよな」なんて言って毎晩中に出すものだから、次の日の朝どろりと股から伝ってくる白い液体に俺が苦笑するのが常だった。それでも、とても、幸せだった。



 だけど、そんな幸せはある日唐突に壊れてしまった。



「……え?」

 俺の前の土下座する銀時。俺は夕飯の支度をしていて、銀時と色違いのエプロンを着たまま、動けなかった。

「ほんっとうに、悪ィ。俺、お前と結婚できねェ」

 曰く、3ヶ月程前、大学のサークルの飲み会で泥酔して、同じサークルの土方とヤっちまったらしい。しかも、ゴムをつけないで。結果土方が妊娠してしまい、それを今日知ったと。
 ショックだった。しかも土方は俺の友達だ。親友と言ってもいい。そんなやつと、銀時が。どうして、なんで、という気持ちばかりが頭を占めた。

「悪い。でも、ごめん。妊娠しちまったから、責任とんねェと」

 そう言って床に頭をこすり付ける銀時に、俺は怒ることなど出来なかった。子供が出来たんなら、そっち優先するのは当たり前だ。滅多に謝ることなどしないくせに必死に謝る銀時に、俺は「仕方ねェよ」と言った。急激に下がっていくのを感じる血とは裏腹に、俺の口元は笑みを浮かべていた。そうだ、元々銀時が俺を好きになってくれたことが間違いだったんだ。銀時には俺みたいな暗い奴よりも土方のように皆から慕われている奴のほうが似合う。笑みを浮かべる俺に銀時もホッとしたのか、「これからも友達として会えるか」と聞いてきた。あたりめェだろ、と笑うと、銀時も少し笑って、土方のところに行って来ると言い残し、俺らが暮らしていた団地から出ていった。またな、という銀時に俺は返事はせず、ただ笑って銀時を見送った。

 
 銀時が出て行った後、俺は作りかけの夕食を捨てた。色違いのエプロンもはさみで切り刻んで、とにかく銀時の思い出を消そうとした。だけど、この部屋すべてが銀時との思い出を彷彿とさせるので、俺は業者へ連絡して、明日この部屋の荷物をすべて捨てるよう頼み、二人が結婚する為に溜めていた資金と通帳だけ持って、この団地を解約し、外へ出た。

 外に出て、数時間当てもなくとにかく遠く遠く、電車に乗ってあの街から逃げた。電車に乗ってる途中左手の薬指に銀時とのペアリングがはまったままだったのに気がつき、捨てようとしたが、どうしても捨てられなかった。そんな自分に涙があふれて来て、一人電車の中で泣いた。

 大泣きしてしまい喉が渇いたので、適当な駅に降りて水を買った。結局指輪は捨てきれず、その駅のコインロッカーに預けた。多分、二度と取りにいかない。俺が降りた駅は新宿駅だった。新宿駅。俺の足はふらふらと東口改札を通り、すぐ左の階段を上ってネオンへ、歌舞伎町へと引き寄せられた。酒を飲むだけの金はある。この後の予定なんて考えてもいなかった。歌舞伎町の片隅の路上で死ぬのも、それはそれでいいと思っていた。銀時が居ないなら、死んでもいいと思った。俺の世界に、もう銀時はいない。そう思うと、すべてが色あせて見えた。

 そのまま適当な店に入って、(ホストクラブではない。一人で酒を飲みたかった)酒を浴びるほど飲んだ。店員が止めるのもお構いなしに飲みまくった。頭がぐらぐらして、熱くて、ぼーっとして、これなら銀時のことも忘れられるかもしれない、と思った。このまま名前も知らない酒屋で寝てしまいたかったが、店員が迷惑そうな顔をするので、代金を払って外へでた。

 外はもう深夜だというのに人工の光でとても明るかった。色とりどりのネオンを浴びて、再び当てもなく歩いていると、ふいに肩を叩かれた。反射で、後ろを振り向く。


「こんばんは。行く当てがないのなら、俺のところへ来ませんか?」


 まばゆいほどの、金色。

 
 銀時だと、思った。

 心臓が一瞬止まったかと思うほどの、衝撃。
 銀時が、やっぱり思い直して俺のところに戻って来たのかと思った。

 それくらい、そいつは銀時にそっくりだった。

 だけど、そいつは銀時ではなかった。


「俺の名前は坂田金時。…貴方は?」



 他人の空似。

 そう理解したとたん、急に腹部に激痛が走った。急だったので痛みを理解できずその場で崩れ落ちる俺に、金時と名乗った男は驚いたようだったが、反射的になのかすぐさま俺を支えてくれたので地面との激突は免れた。礼を言おうと開く口から出るのは何故か痛みを耐えるうめき声で、激しい痛みに感謝など述べれるほどの余裕はなく、俺はただ、腹部を押さえ金時の腕の中でうずくまった。激しい痛みの中、金時の大丈夫かと叫ぶ声が、銀時の声と重なって、俺は意識を手放した。






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