いろいろ

□しゃっくりが止まらない
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※ただのバカッポー



この現代になってもいまだしゃっくりが起こる原因というものは詳しく解明されておらず、数分間でとまることが普通だが、世界には何年間も続いた人間もいたらしい。
別にこれと言って害はないしゃっくりだが、なぜかイライラしてしまうものだ。喉がいように渇くし(しゃっくりを止めようと思って深呼吸をなんどもしたのがいけなかったかもしれない)ひっく、という音にはなんか間抜けさも感じる。害がないものでも、しゃっくりなんて願いさげだ。

だが、それは急になんの前触れもなく襲ってくるものだ。


「・・・ひっく、・・・ひっく」


人間なのだから、しゃっくりなど誰にでもある普通の経験だ。だが、しかし。


「・・・この文を書き下し文に直すと・・・」


こんな静かな授業中にでなくてもいいと思う。しかも、銀八の授業で。

俺の勘違いかもしれないが、さきほどから皆の視線が痛い、気がする。いや、沖田なんてのは絶対ニヤニヤしながらこっち見てるし、クラスの奴らからもチクチク視線を感じる。土方にはさっき「豆腐の原料は?」って聞かれた。その優しさがいてぇ。大豆って答えても止まらなかった。っていうかなに銀八真面目に授業してんだよ、と教師として当たり前のことをしている銀八を心の中で責める。俺の心ではイライラが最高潮に達していた。あーあー、イライラする。書き下し文とかどうでもいいんだよ、クソが。はやく授業終われ。水でも飲んできたらきっと止まると思う。だから、はやく、はやく。


「ヒック、・・・・・・・ンえ、ック、げほっ、えほ、」

しゃっくりを止めようとして息を止めていたら、それでも鳴り止まないしゃっくりとせめぎあってむせた。
ああ、やめろ、やめてくれ土方。哀れな目で俺を見るな。言いたいことはわかる。しゃっくりなんて俺のキャラじゃねぇ。ただ人間なんだからしかたないだろうが!


「・・・高杉ィ」

ああ、恥ずかしい、速く止めなくては。さっきのむせた衝撃で生理的にうるんだ目を擦ろうと手を目の前に持ってきたところでふいに銀八に話しかけられた。今俺はお前にかまってられねぇんだ、俺のしゃっくりを隠すべくいつもどおりさわがしい授業をしてくれ。ああん?と若干低い声で銀八に返事をすると、ポン、と肩に手を掛けられた。

「なに・・・」

同情か?同情なのか?だとしたらゆるさねェ。ギッと銀八を座ったまま見上げると予想外なことに銀八の顔が俺の鼻先にくっつくまであと数センチの場所にあった。

「え?」

そのまま一瞬見つめあった後、ちゅ、と軽いリップ音つきで唇にキスされた。

「たぶん、これで止まるよ」

驚きと戸惑いで静寂に包まれた教室内に、銀八の声だけが響く。その後銀八は何事もなかったように授業を再開しはじめた。さっきよりもシンとした教室にコツコツと銀八がチョークを響かせる。
俺はというもの、授業どころではなかった。顔に熱が急激に集まり、目は恥ずかしさからさきほどよりも潤む。いや、しゃっくりは止まった、しゃっくりは。面白いほど簡単に、ピタリと止まってしまったのだ。銀八のキスで。これは銀八の魔法とか、天使の奇跡とか、そんな非科学幻想的なことではない。ただ俺がいきなりのキスに心臓が口からでそうなほど驚いたからだ。銀八も、俺が驚くことを狙ってキスしたのだろう。だが、だけど、でも。




「もっと違う方法もあるだろクソ野郎!!」




俺の右パンチが銀八の左頬にクリティカルヒットした。




終わり

豆腐の原料聞いてもしゃっくりなんか直らない。だれだガセネタ流した奴は。
しゃっくり止まらないのは私です。

どうでもいいけど私は昔しゃっくりのことを中2か中1くらいまでひゃっくりだと間違えていた。

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