いろいろ

□特別な日
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※セックスとか普通に言っちゃってる。



俺と銀八が付き合い始めたのは3年前だ。
告白したのは俺から。キスもセックスもしたけれど、しようと誘ったのはすべて俺からだった。銀八とであったのは10年前、俺がまだ8歳の頃だった。俺が銀八の家の隣に越してきたのが始まりだ。そのころには銀八は18歳で、俺と同じくこの銀魂高校の高校3年生だった。そして俺が本格的に銀八と話すようになったのは俺が10歳の頃。親が仕事の都合で家になかなか居られなくなっていたときに、親が隣の銀八お兄ちゃんにって、俺を坂田家に預けたのだ。銀八はもともと親が居なくて一人暮らしだったので、俺は銀八によく懐いていたように思う。銀八は頭が良かったので(よかったのだ、本当に)よく勉強も教えてもらったりしていた。中学生になるとだんだん銀八の家にも行かなくなって、(その頃には銀八にもう恋の感情が芽生えていたので、好きな人と一緒の空間に2人だけというのはたえられなかったのだ)(銀八は俺が中学校に入学したあたりで高校教師になった)高校生になり銀八がそこの教員だという事を知った。はじめは告白する気などさらさらなかったけれど、いろいろあって告白して、今に至る。

思えばその頃から感情の起伏が少ない人だとは思っていた。否、感情を表に出さない人というべきか、アイツはよく無表情でいることが多かったように思うし、今もよく無表情でいる。ちょっと笑ったかと思うとすぐに無表情になるし、怒るということもあまりしない。生徒達にツッコミをいれるときはよく叫ぶが、それが終わればすぐに元通りだ。一番感情を出していたのは俺が中学のとき、一方的な喧嘩(リンチっていったほうが正しいかもしれない)で、左目を失明したときだったか。あのときは目が覚めたら病室のベットの上で、俺が目を覚ましたとたん銀八が俺に抱きついたことだったか。俺はその時ボーっとしていて、俺が病人だと気づいて慌てて俺から離れてナースコールを押す銀八を離れないで欲しいなーとか思いながらぼんやりと眺めていた。その時の銀八の顔は悲しいという感情をこれ以上ないというほど顔に出していて、涙も出ていた気がする。でもそれ以外は、嬉しいとか悲しいとかそれらの感情一切をすべて表に出して少なくとも俺の前では出していなかった。

言葉では愛してるとか言ってくれても、顔が無表情だったら不安になる。最初のうちはそれが銀八だと割り切っていたものの、セックスの最中まで無表情だったら、不安にならないだろうか。いや、なる。
そんなこんなで不安が臨界点に達してしまった俺は、つい1週間ほど前のセックスの最中、銀八をどなりつけてしまった。いや、どなりつけるというより泣き喚いたというほうが正しいかもしれない。裸でお互い繋がったまま(銀八は下半身は着てたけど)俺が泣き喚き叫んでいるのは銀八から見ればさぞ滑稽だったであろう。そのまま俺は中に入ってる銀八のモノを無理矢理抜き、服を着るのもおざなりに、銀八の家を飛び出した。歩いて10秒の距離を俺は走って家にとびこんで、部屋の隅に丸まって自己嫌悪に浸りながら、携帯が銀八のためだけに設定した音楽を鳴らすのを聞いていた。
それ以来銀八には合っていない。


はぁ、と今日何度目かわからない溜息をつく。ちらりと机の上の小さい時計を見ると、もう日付も変わりそうだった。今日はたくさん俺にメールや電話が来た。それらはすべて俺の誕生を祝うものだ。そう、今日俺は18歳の誕生日なのだ。沢山の受信ボックスの中には、銀八から送られてきたものは入っていない。18歳は、俺と銀八が始めて会った日の銀八の年齢だ。10月にしては暖かかったのを覚えている。あの日からもう10年。毎年銀八は俺の誕生を祝ってくれたけれど、どうやら今年は無いらしい。当たり前か。セックス中に訳もわからずどなり泣き喚いた恋人のことなんて、嫌いになって当たり前だ。というか、銀八は俺のことをきちんと恋人と思ってくれていたのだろうか。自分に必死に告白してきた哀れながきんちょに、同情で付き合ってやっていたのではないだろうか。キスだって、セックスだって、すべて同情で。銀八は優しいやつだから、その可能性もなきにしもあらずだ。

「はは、は」

そう思うと、なんか笑えてきた。そういえばアイツ、放送部の結野のこと可愛いとか言ってたっけ。あいつが本命だったのかな。前二人で話してるのを見た。銀八は放送部の仕事の話だって言っていたけど、それは本当なのだろうか。あいつら二人が付き合っていたとしたら、俺はただのピエロでしかない。今ごろ、この時間はアダルトタイム。仲良く乳繰り合ってるときだろうか。だいたい、ノンケの銀八が男の俺を好きになるということがハナからありえなかったのだ。いや、俺も真性のゲイってわけじゃないけど、いや、やっぱ真性のゲイなのだろうか。銀八しか好きになったことないし。あー、そういうの、銀八嫌いそうだな。何年もずっと前からあなたしか思ってませんってやつ。重いって、嫌いそう。

「ははははははははは、ははは」

暗く電気もつけてない部屋に響くのは俺の乾いた笑い声だ。声は笑っているのに、なぜか目からは涙が止まらない。

「・・・ふッ、ぐ、うぅ、」

涙を認識したとたん笑い声は鳴き声に変わった。こんなに、愛しているのに。

「銀八ぃ・・・」






「はーい、呼んだ?」











あ?

俺しかいないはずの部屋で俺以外の声がした。それはよく知った声で、あれ、俺、幻聴が聞こえるようになってしまったのだろうか。


「なーんで、こんな暗い部屋でうずくまってんだよ。電気つけろ、電気」

パチン、と急に部屋が明るくなった。その声の人物が部屋の電気をつけたのだろう。なにより、ずっと暗い部屋にいた俺の目にはすっごく悪い。変に白くなった視界でなんどもパチパチとまばたきをする。だんだん視界がクリアになってきた。

「まったく、急に笑ったと思ったら泣き出して、忙しい奴だな、お前は」

その人物は俺が先ほど来て欲しくてたまらなかった人物で。呆れたように、少し笑った、気がした。

「銀、ぱち?」

いまだ信じられないが、俺の目の前にいるその人の名前をよぶ。ん?なーに?と返事された。なんで。

「お前、なんでッ!結野とよろしくやってるんじゃなかったのかよ!?」

「・・・なにソレ。誰が言ってたの?」

「いや、そういうわけじゃねーけども・・・」

でも、でも、でも、銀八が今日この日に俺の部屋にいて、俺の目の前にいることがおかしいのだ。そもそも、なんで、鍵は。

「あぁ、前にお前の母親から合鍵貰ってたんだよねー。それで入ってきました。」

まるで俺の言いたいことがわかるように自分がここにどうやって入ってきたかを説明した銀八は、めずらしく苦笑しながら俺のうずくまってるベットの前までやってきて、シーツおばけとなっている俺に目線をあわした。

「・・・。可愛い顔が台無しだよっていいたいところだけど、美人は泣いても美人だね。うらやましいよ。」

「やっ・・・見るな!」

顔を隠そうと腕を上げると、その腕はいともたやすく銀八に押さえられた。泣きはらした顔は酷いものだろう。女じゃねーけど、好きなやつの前では一番特別な自分でいたい。
それなのに銀八は俺の腕を掴み、やだ、みせて、なんて抜かしやがった。本当に、止めてくれ。同情なんて、いらないから。

「なぁ、高杉、ごめん。俺、お前を不安にさせちまったみてぇで」

「・・・うッ、ふ、」

「泣くなよ、泣かないで、高杉」

今日の銀八は本当に珍しい。悲しむように、眉をちょっと下げた銀八は、その手で俺の目尻を拭った。銀八の指先に俺の涙が付着する。あろうことか銀八はそれをペロリと舐め取った。

「しょっぱいな」

「当たり前だろ、ばか・・・」

こんなときにも憎まれ口しかでてこない。
あーあ、馬鹿は俺のほうだ。
銀八も、きっと迷惑をしている。

「来るの遅くなってごめん。これ買うためにいろんな店走り回っててさ。」

目の前に差し出されたのは、小さな箱。
映画やドラマでしか見たことのないそれを、きょとりとしながら眺める。まさか、そんな。

「高杉。俺と、結婚して下さい。」

ぱこりと開いた箱に入っていたのはシンプルな指輪。赤色の石がはまっているそれをおそるおそる手に取る。

「ちなみに、俺のはこれだよ。なかなか同じデザインのものがなくて、隣町まで探しにいっちゃった。」

銀八の左手薬指にはまっているそれは、俺と同じデザインで、はまっている石の色が緑色だった。

「まぁ、もともと高杉の18歳の誕生日には指輪やろうと思ってたんだよね。そのためにお金コツコツためてたし。男同士だから市役所に行って正式に、とかは出来ないけども、婚姻届だけは貰ってきたよ。俺先に名前書いちゃったし、判子もおしたから、後は高杉のだけ。これをさ、どっかに飾ろうよ。結婚パーティーは9月10日とかどう?高杉は知らないかもしれないけど、その日は俺とお前の真ん中バースティなんだよね。会場は俺の家でさ。俺が特製ウエディングケーキ買ってやるよ。ウエディングドレスはレンタルしよう。もちろん高杉が花嫁だよ?それと・・・高杉?」

銀八が早口に今後の予定をしゃべっていく。俺はそれを涙でべしょべしょになりながら聞いていた。

だって、そんな、嘘だろう?


「ねぇ、高杉、返事聞かせて?」



そんなの、決まってるじゃねぇか!




特別な日

(それにしても、なんでお前はいっつも無表情なのに今日はそうじゃないんだ?)
(ああ、いっつもアレ高杉の前だからかっこつけてんだけど、今日は緊張でそれどころじゃなくって・・・高杉?)
(そのままで十分かっこいいからそういうことすんなクソ野郎!)




おわり!

小説を書き始めた時間14時7分。
小説を書き終えたのは15時41分。
見直してないから誤字脱字あると思われる。
つかれた・・・。

高杉は小さいころ銀八先生のこと「銀にぃ」って言ってれば良いな。

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