小説

□初詣で
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銀高

うっすらと雪化粧した神社の大木が
なぜかとても綺麗で、
ゆっくりと見つめてしまった。


「高杉ー、なにやってんの?
お参りしないのー?」

後ろで銀時が叫んだ。
しかし、俺は一応指名手配されているのだが
そんなにでかい声で有名な苗字を
叫んでいいのか。

「晋助、早くするアル!」

大木の前で動かない俺に
痺れをきらしたのかどうかはわからないど、
そう言いながら黒い髪飾りを揺らして
神楽が走ってきた。

今は銀時たちと初詣に来ている。

万斉は正月に向けて新曲を作るとかで
いなくなり、
また子は実家に帰って、
武市は1月1日に限定フィギアが発売するとか
で出かけ、
その他の奴らはみんな用事あるとかで
鬼兵隊は俺一人になったため、
俺は万事屋で年を明かしたのだ。

言っておくが、決して寂しかったわけではないぜ?

「晋ー助ーっ!」

神楽が俺の手を引っ張り俺はずるずると
引きずられてる。

神楽が俺の手を握った瞬間銀時が
悲鳴を上げたが
聞こえないふりをした。

引きずられて銀時たちの前に行くと
神楽の手は銀時によってほどかれ
俺は銀時に抱き寄せられた。

甘い香りが鼻腔につく。
いつもは眉をよせるけれど、
今日はそんな気は起こらなかった。
正月のせいにして銀時をひっぺがす。

公衆の面前で正月から男同士が抱き合ってる
のを見せられる奴のことを考えてだ。

「ふざけたことやってねーで
御参りするぞ。眼鏡、金くれ。」

よこにいる眼鏡にそう促すと
眼鏡は僕が出すんですか!?と叫ぶ。
ちなみに銀時はひっぺがされたショックからかどうかは定かじゃないけど、
神楽のよこで落ち込んでいた。

「しょうがねーだろ。俺財布万事屋に
忘れてきたし。銀時持ってるのは菓子だし
神楽は酢昆布だし。
お前しかいねーんだよ。」

そういうと眼鏡はしょうがないですねと
いって財布から小銭をだし
俺の手に乗っける。

「新八、私にもプリーズ!酢昆布買える位の!」

そう言った神楽に渡した小銭は、俺と同じ
色の小銭。
金色で、真ん中に穴が開いている。
つまり、5円。

「5円で酢昆布が買えるかー!
チキショー!」

「神楽ちゃんこの前酢昆布買いだめしてた
でしょ?それまだ家にあるでしょうが」

「おーい、新八、俺にも金プリーズ。
パフェ晋ちゃんと二人で食べれるくらいの」

復活した銀時が新八に言う。
新八は僕そんなに持ってません。と
悲しそうに笑った。

あとでこの二人に(神楽と新八)に
お年玉でもやるか・・・

結局みんなに渡された5円。
それを投げ鐘を鳴らし手を叩き、御参り。

俺は今年も世界をぶっ壊せますように、と
今年も万事屋でみんな幸せに過ごせます
ように。と願った。

後者は絶対に秘密だ。

右をみると銀時はまだ何かを願っていた。
左をみると神楽が酢昆布がなんちゃら言っている。
眼鏡はお通ちゃんがどうたら。

俺がおかしいのかと思うほど
長い時間をかけてお願いした3人の願いが
あわせて15円では神もかなえてくれない
だろう。

俺は神なんて信じてねーけど。

一応聞いてみる。

「銀時はなんて願ったんだ?」

どうせ甘いモンがどうたらとかだろうけど。

「ん?俺?誰かにいったら叶わなくなるんだよ?」

それは流れ星とか縁結びだろ。

「しかたないなぁ。
じゃあ高杉にだけおしえてあげる。」

そう言うと銀時は俺の耳に口を近づけた。


初詣で

高杉と、一生離れませんように

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