小説

□入試前夜
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3z 銀高 同居しています。


真夜中高杉の部屋から微かにもれる明かり。

ああ、そういえば明日は試験だったかなと
思う。土方とかに教えてもらいながら
頑張っていたっけ。

・・・あまり遅くまで起きていたら駄目だよ。頑張ってね。


「・・・じゃあ、行って来る・・・」

「・・・行ってらっしゃい。頑張ってね。」

朝起きてきた高杉の目の下には隈が
くっきりとあった。

可愛い顔が台無し、という言葉は飲み込んだ。そんなこと言ったら今にも
地球の裏側へ殴り飛ばされそうだったから。

面接が全然駄目らしい高杉は
この試験にかけているのだ。

「じゃあ、な。」

そう言ってドアがバタンと閉まる。
すぐさま窓の方に回って高杉の様子を観察。

「・・・試験会場に着く前に倒れなきゃいいけどなぁ・・・。」

高杉は足をふらふらさせてアスファルトを
歩いていた。
心配だ。ものすごく。

勉強面ではない。高杉はああ見えて頭がいい。(過去に高杉にいがいと頭いいんだねと言ったらいがいとはどういう意味だと殴り飛ばされたことがある。)いつも学年10位以内には入る。

・・・俺が心配なのは健康面なんだよ・・・
だってこのごろまともに睡眠取って
ないっぽいし・・・
倒れたりしないかな。大丈夫かな。

あー、もう!こんなんじゃ今日一日
気が気じゃないじゃないか!!

高杉ぃぃぃぃ!

頭を掻き毟りながらその場に崩れ落ちる
銀八であった。


「・・・銀ちゃん。大丈夫アルか?魂出てる
アルよ?」

場所は変わって学校。
神楽が銀八の口から出てる白いなにかを
突っつく。
どうやら口から魂が出てるらしい。
重症だ。

「ぎーんちゃーんっ!」

「・・・うるせーな。いいよな。大学
行かない奴は。楽で。」

生き返った銀八がぼやく。

「楽じゃないアル!これから就職活動
しなくちゃならないネ!大変アルよ!」

「はいはい、分かった分かった。
あっちにいってこい。先生今忙しいから。」

しっしと神楽を追い払う。

考えるのは高杉のことばかり。

煙草の火をうっかり自分の手の甲に
落としてしまい、
じゅうという焼ける音と銀八の悲鳴が
むなしく校舎に響いた・・・。


「高杉、まだかな・・・。まだかな。」

いつもより随分と早い時間に帰宅した
銀八は先ほどからずっと部屋の中を
うろうろしていた。

時間的にはもう帰ってきてもおかしくない
時間だ。

・・・あー、もう。高杉、遅いな。
あ、もしかして途中で倒れちゃったとか!?
あー、駄目だ。銀さん心配だよォォォ!

だいたい大学なんていかなくても
俺が養ってあげれるのに!

本格的に心配になってきたころ、やっと
玄関の鍵が開く音がした。

高杉だ。そう思い玄関にダッシュする銀八。

「たかすぎぃぃぃぃ!」

高杉の顔が見えた瞬間高杉の体目掛けて
タックル!

「うわっ、わっ!」

いきなり襲い掛かって来た銀八の体重に
耐え切れず高杉が床に尻餅をつく。

「え、ぎ、銀八!?もう帰ってきたのか!?」

自分に抱きついてわんわん泣く銀八を
目を白黒させながら見る高杉。

「高杉ぃ、大丈夫だったか!?
倒れたりしなかったか!?」

「ちょ、なんで俺が倒れるんだよ?」

涙を高杉の服に付けながら叫ぶ銀八と
疑問符でいっぱいの高杉。

「高杉、心配だったよ。高杉ぃっ!」

「んぐっ、んっ、・・・はぁ、
なんでこの状況でキスなんて、んんっ!」

銀八は何度も高杉の唇に押し当てる。

4度目位で高杉に殴られた。

銀八は仕方なく唇を離す。
高杉は乱れた呼吸を元に戻してから言った。

「そんなに心配だったのかよ?」

「うん。すごく。倒れたりしないかとか。」

「・・・・。(心配性・・・。)」

「あ、それより、どうだった?試験は。」

「俺が落ちると思ってんのかよ?」

まぁ随分と強気で。

でもね。


入試前夜

今夜は寝かせないからね。

疲れたから寝かせろ。

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