小説

□春休み
1ページ/1ページ

同級生銀高。

桜の木には蕾が咲き始めていて、
それでも外はまだ寒くて。
くしゃみを一つしたら心配性の恋人に
大丈夫か?と聞かれたのが
やけに嬉しかった。

「あー、わっかんね!!」

銀時が怒号とともにシャーペンを放り出す。

「意味わかんねーよ!サインコサイン
タンジェントってなに!?
そんなもん知らなくても世の中十分
やっていけるよ!?なぁ、高杉!?」

俺に同意を求めるなよ。

「うるせーよ。早くやりやがれ。
そこは問い3の応用だ。」

銀時の指差す問題に答える。

「応用ができないんじゃァァァァ!!」

と、銀時がシャウトした。
それと同時に消しゴムを投げつける。

「・・・つーか、なんでこんな難易度の高い
問題やってるの?俺。」

銀時が泣き始めた。
泣いたり怒ったり忙しい奴だな。

泣いててもおわんねーぞ?

「・・・・。なんか、もうやる気
無くなってきちゃったな・・・。」

銀時が机に突っ伏す。
馬鹿が。まだ始めて30分しかたってねぇ。

「ホラ、はやくやれ。」

やる気をだすよう促してみる。
うーうー唸るだけで効果は無かった。
体を揺すってみる。
う゛ーう゛ー変な声を出すだけで
効果はなかった。

松陽先生に頼まれたんだ。
銀時の勉強見てくださいって。

銀時がなにやらブツブツ言い出した。

こうなったらもう駄目だ。
あっちの世界に行ってしまっている。
銀時は俺のことを電波と言うけど
十分こいつも電波だと思う。

「ぎーんーとーきー・・・」

試しに声をかけてみるも無駄だ。
・・・。
一つだけ方法はある。
銀時をこっちの世界に連れ戻す方法。

ただ、あの方法は・・・。

・・・。やるしかねぇか?

「おい、銀時、起きろ。」

机に突っ伏している銀時を肩を持ち上げ
きちんと座らせる。
まだ、銀時はブツブツ言っている。
少し怖い。

・・・。
しかたねぇ。

銀時に顔を近づけて、
自分の唇を銀時の唇に押し当てた。

銀時の動きが止まる。
よし。もう大丈夫だ。
唇をはなす。

銀時はなぜかキスをすると戻るのだ。
なぜかは分からんけど。

「・・・え?た、かすぎ?」

銀時が口をぱくぱくさせながら言う。

なんだよ。よくお前も俺にしてくるじゃねぇか?キスよりすげぇこと。

「高杉からキスしてくれるなんて・・・。」

・・・。
なんかやめろその言い方!
恥ずかしいだろーがっ!!

「銀さん感激!!!」

だからやめろぉぉぉ!


春休み

そのあとめいっぱい殴ってやった。
愛のムチとかそんなんじゃない。
・・・たぶん。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ