小説

□甘いもの
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生徒銀時×保険医高杉で銀高。


だんだん暖かくなってきた。
窓の外から見える桜は満開で、
花びらがあけていた窓から入ってきたのを
見て、なぜだかクスリと笑ってしまった。



コーヒーが好きだ。
砂糖なしのブラックコーヒー。
だけど目の前にいるコイツは、
コーヒーに砂糖を10個くらい入れて
飲んでいる。
極度の甘党で近づくと常に甘い香りがする。
坂田銀時。これがそいつの名前だ。

「ねー。高杉センセー。」

銀時が俺を呼んできた。
なんだ、と返事をする。

今は放課後。
生徒はもう帰った。
今週はテスト期間中のため早く返されていた

それでも、コイツだけは帰らなかった。

「ホラ。見て。」

俺の前に自分の手を出してくる。
その指は切れていて、少し血が出ていた。

「ガラスで切っちゃったんだ。地味に痛い」

銀時が言った。

「だから?」

「だからじゃないよ。消毒して頂戴?」

ニコリと笑いながら言う。
紅い目が俺を捕らえた。

「そんなモン、舐めときゃ直るだろ。」

そいつから目を逸らす。
この紅い目はどうも苦手だ。
吸い込まれそうになるし、

なにより、心臓がうるさくなるから。

「センセ。こっち見てよ。」

銀時が悲しそうな声を出す。
その瞬間。
顔をつかまれ銀時の目の前に持ってかれた。

「なにすんっ・・・」

「キレーな顔・・・。」

「!!?」

褒められた、のか?馬鹿にされたのか?

「センセー。俺の手。舐めてちょうだい。」

そういうなり、銀時が俺の口の中に指を
押し込んできた。
血の味が、口内に広がる。

「んぐっ・・・」

押し出そうとしても押し出せない。

「センセ、かわいい。ねぇ、舐めて頂戴?」

銀時が低い声でささやく。

「舐めたら、取ってあげるから。」

そう言われた。
そう言われたら仕方ない。
早く取ってもらいたい。
こんなの間違ってると思うけど、
あまり嫌じゃない自分が怖い。

仕方なく、舐める。

「ふぐっ、はぁ・・・。ん・・・。」

息があまり出来なくて吐息となってもれる。
俺のそんな姿を見て銀時が可愛いと呟いた。

「んぅ。・・・ん、」

舐めていたら、血が止まった。
銀時が有り難うと言って口がら指を取る。

唾液まみれの指を銀時は少し見て、
その手を自分の口に含んだ。


その姿を見て俺の脳は、こいつ指まで甘かったなとか的外れなことを考えていた。





甘いもの

その手は砂糖の味がした。



終わり。

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