小説

□お花見
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江戸銀高

キラキラと太陽が照りつける。
そよそよと風がふく。

それにあわせて銀色の髪が風にキラキラと
舞った。
綺麗だった。







「桜って、美味いの?」

目の前の銀色の男が俺にとんちんかんな質問をしてきた。

「美味いわけあるか。」

桜は、見かけによらずいがいと苦い。

「でもさー、桜餅とかあるよねー?」

その男―銀時が舞ってきた桜の花びらを
見て呟いた。

「うるせーな。じゃあ食ってみればいいだろ?」

加工前のだから不味いに決まってんじゃねェか。アホ。

「ん。いいや。俺夜桜のほうが好きだし。」

「は?」

は?意味わかんねェ。なんで夜桜が好きなのと桜の美味い不味いが関係すんだよ。

「どういう意味だ?」

「だってさぁ、夜桜って高杉みたいじゃん」

銀時が桜の花びらを離しもう一度風に舞わせた。花びらは風に吹かれ飛んでいった。

「俺みたい?桜が?」

「うん。桜っつーか夜桜ね。妖しくて幻想的で・・・昼間とは少し違う紫が入った桜が舞う・・・。それをどうしても俺は高杉と重ねちゃうんだよね・・・。」

うっとりとした口調で夜桜を語る銀時。
桃色の花びらが舞ってきて銀時の頭に
乗っかった。
銀色に桃色も結構合う。

「ねぇ、これは末期かな?」

俺の腕を掴んで桜の木に押し付けて来やがった。人気は無いので大丈夫、と。

「・・・フン。末期だな。」

「高杉依存症って病名でどう?」

「好きにしろ・・・、ンッ・・・」

銀時が唇を俺の唇に重ねてきた。

柔らかい感触。そのまま口を開く。
予想通り銀時の舌が口の中に入ってきた。

「んぁ・・・ふっ、は、ぁ・・・」

「高杉・・・綺麗・・・ん?」

唇を離した銀時が俺に目線を合わせて少し下を向いたため頭の桜が俺の頬に落ちてきた。

「・・・?なにして?」

「ちょっと口開けてくれない?」

桜を持った銀時がそう言った。
口開けないと無理やり開けさせるだろうから
おとなしく口を開く。

「・・・てめぇ。何しやがんだ。不味い」

銀時が俺の口に桜を入れてきた。
ふわりと柔らかい感触。
舌に花びらがあたる。

「・・・ン」

もう一度唇を重ねてきた。
舌で器用に俺の口の中の桜を自分の口に移す銀時。
口を離すと銀色の糸が俺達を繋いだ。

「ん。おいしい。」

「・・・なわけねェだろーがよォ・・・」

「おいしいよ。」

「・・・フン。」



桜吹雪に君と酔う。

お花見

今度は夜桜喰ってもらうから準備しとけよ。
・・・あの、ソレどっちの意味ですか。まぁどっちでも美味しく頂きますけど。覚悟しとけよ。



おわり

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