小説

□子ども時代
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幼少銀高

草原にゴロンと寝転んだ。
青い空が何処までも広がっていて
自分の上にはそよ風が吹いていた。







「高杉ー。何してんの?お前。服よごれっぞ?」

銀時が草原に寝転ぶ俺を不思議そうに見た。
右手にはしっかりと剣が握ってある。
その剣は大きくて、銀時はいつも持ち歩いてるけれど邪魔じゃないのかなと時々思う。

まぁその剣は松陽先生が前愛用していた剣なのだけれど。
なんでこいつが持ってるんだか。

「高杉、きいてるかー?」

銀時がもう一度尋ねてきた。

「ん。ねっころがりたい気分なんだ」

ボーっと空を見ながら言う。
銀時はフーン。と小さく呟いてから俺の隣にころんとねっころがった。
こんなときでもこいつは剣を手放さない。

「お。今日はいー天気だなー。」

今気づいたのかよ?
朝から快晴だったぜ?

「ずっと下見てたから気づかなかったよ」

「・・・ふーん。」

ずっと下、ねぇ・・・
なんでそんな、なぁ?

「高杉ー。」

「なんだ?」

「・・・・・。きれーだな」

「・・・うん。」

なにを言い出すかと思いきや。
まぁ、たしかにこの空はきれいだけど。

そんなことを考えていたら俺の腕に
銀時の長い剣がコツンとあたった。

痛くは無かったけど疑問が脳内を包む。

なんで銀時は剣をいつも持ってるんだ?

「・・・なぁ、銀時」

「んー?」

「その剣・・・その・・・」

なんて言えばいいんだ?

「怖いからだよ」

「え?」

横で言葉を詰まらせている俺に向かって銀時はそう言った。

・・・、

「怖い?」

怖いって、なにが?

「そう。怖いんだよ。いつ誰が裏切ってくるかって、そんなことしか考えられないんだ。戦場でひとりでうろついてたときにも、頼りになるのは自分だけだったからさ」

「・・・。」

銀時は空を見て笑いながらそう言った。
けど、目は泣いていた。

「でもいつか持たなくても大丈夫なときがくると思うんだ。」

「・・・ふーん。」

「だからさ、この剣のことは、なんつーの?
飾りだと思ってちょうだい」

「・・・わかった。」

ありがと、と言って銀時は起き上がり駆けていった。

・・・怖い、なぁ・・・

「お前の事、今日はいっぱい知れたぜ?」



子供時代

見かけによらず怖がりなんだな。
いろんな意味で。

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